ぐちゅぐちゅぺーと強制移送計画
本作品は、中年のおっさんの個人的なAIへの興味から派生し始めたものにつき、
作者が好き放題書き散らかしています。
ですので、皆さんが普通は書かないような事にこだわったりしてしまっています。
生理描写や衛生描写等が重く書いてる本人もスカッと全くしておりません。
お気に召さねばそっと閉じていただけると登場人物たちも喜ぶと思います。
それでも、お付き合いしていただける方はどうぞよろしくお願いいたします。
「明日には別の宿に移るわよ。風呂なし、食事カスってなんなのよ。あり得ないし。」ルナは独断で言い出す。
「あたし....ルナと....」リュンヌは拒絶の言葉を紡ぎ出そうとした。
「ツレよねツレ。今日のあなたの薬のコスト分稼ぐのを手伝うのが人ってものでしょ。」コストと言うまたも意味不明な言葉をルナは吐き出す。
「....こすと....何....。」
リュンヌはぱっちりとした瞳を潤ませ、ルナをぼんやり見る。
拒絶しようとした言葉は、彼女の美貌と「連れ」という強引な既成事実の前に、あえなく霧散してしまった。
「....私の部屋....、なんで....追い出される....。」
ナギナタをまるでよりどころとするようにして、ふっくらした頬を膨らませてベッドに丸まる。
『風呂なし、食事あっても最底辺。』
この街で僅かな稼ぎで必死に生きるリュンヌにとっては当たり前の日常も、あの銀髪の「コストなるもの重視神官」には耐え難い苦行らしい。
「....明日....高い宿....お金....ない....。」
不安と、薬のおかげで妙に温かく楽になった腹部の感覚。リュンヌは脂汗の引いた額を枕に沈めた。
ルナの言動は「人買い」のようだが、不思議と彼女の周りだけは、宿がある冷たい路地裏の風が遮断されているような気もする。
「じゃ、寝るよ。あたし歯を磨いて来るから。」ルナが言う。
「磨く....何? ....歯を....?」リュンヌはまたもポカンとする。
「えーっ!マジ、歯を磨いてないってマジ、あり得ない、ちょっとあんた物好きなゴブリンにでも育てられたの。あり得ないったらあり得ない。」
ルナは早口言葉を言うようにまくし立てる。
「....ゴ、ゴブリン....失礼すぎ....っ!」
リュンヌはぱっちりとした瞳を涙で潤ませ、ルナに腕を引かれて階段をドタドタと駆け下りる。
宿の女将が「あら、仲良しだねえ」なんて暢気な声をかけてくるが、こっちはそれどころではない。
「ほら、やって。指の腹でキュッキュって。バイ菌が繁殖して、将来総入れ歯になっても知らないわよ?」
「ばいきん....いれば....? もう、何言ってるの....!」
タライに張られた冷たい水に指を浸し、言われるがままに前歯をごしごしとしごく。
リュンヌの小さな口の中を、ルナの鋭い視線が検品でもするかのように監視している。
「....あ、あうぅ....」
頬を震わせ、見知らぬ「作法」に必死に食らいつく姿は、まるでお母さん狐に毛繕いされている仔狐のようだ。
脂汗は引いたものの、今度は恥ずかしさと困惑で顔が真っ赤に染まっていく。
「....これ...明日も....?」
リュンヌは初めて体験する「清潔」という名の暴力に、ただただ翻弄されるばかりだ。
「ほれ、口ゆすぐ。ぐちゅぐちゅぺーって保育園?」とルナはゲラゲラ笑う。
「....ぐちゅ、ぐちゅ....ぺーっ」
リュンヌは屈辱に震えながら、タライに水を吐き出した。
ぱっちりとした瞳には、今にも零れ落ちそうな涙が溜まっている。
「....ひどい。....恥ずかしいこと....っ。」
「保育園」なんて、聞いたこともない不吉な儀式のような言葉を吐いて笑うルナ。
リュンヌは頬を限界まで膨らませて睨みつける。
だが、口の中は驚くほどさっぱりとしていて、鼻に抜ける水の匂いが妙に清々しいのが、なおさら腹立たしい。
「もう....寝る! ルナ....大嫌い....!」
精神的な体力を使い果たしたリュンヌは、手洗いの隅に置いていたナギナタをひっ掴む。
そして、脂汗をかいていた時よりもフラフラした足取りで二階へと逃げ帰った。
背後から聞こえる「おやすみ、リュンヌ!」という明るすぎる声が、静かな宿に無情に響き渡る。
リュンヌは毛布を頭から被り、暗闇の中で自分の歯を舌でなぞってみた。....ツルツルしている。
「....変な、やつ....」
悔しいけれど、お腹の痛みも和らぎ、口の中の不快感も、あの「銀髪の悪魔」が来てから消え去っていた。
知らぬ間にリュンヌは深く眠っていた。
「あ、起きた? 遅いよリュンヌ。」
階段を降りるなり、リュンヌの耳に届いたのは、朝からよく響く高いルナの声だった。
入り口の脇、出立の準備が整えられた荷物の山の上に、あの古ぼけて硬くなった革鎧と、不格好な「ナギナタ」が鎮座している。
「....あたし....頼んで....ない....っ」
リュンヌはぱっちりとした瞳を点にして、自分の装備とルナを交互に見た。
女将が横でニコニコしながらリュンヌに話しかけてきた。
「寂しくなるねえ、でもいいお友達ができて安心したわよ。達者でね。」と、昨日の銅貨一枚の効果を遺憾なく発揮している。
「頼まれてないけど、この宿のベッドの硬さじゃ私の美肌が死んじゃうの。はい、これ。朝の薬。飲んだらすぐ行くわよ。」
ルナは当然のように、またもや「怪しげな粉」を差し出してきた。
リュンヌの意思など微塵も介在しない、完璧なまでの強制移送計画。
ファンタジーで歯磨きってどないなってんのかなあと思い入れちゃいました。そもそも口ゆすぐのにかけ声って今も言うのかな?
ルナがリュンヌ関係なく暴走しだしている気がしますが、止めずに行ってしまいます。
宿をそもそも替えるだけの金はあるのか?




