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特大の雷(いかずち)と地獄の底

本作品は、中年のおっさんの個人的なAIへの興味から派生し始めたものにつき、

作者が好き放題書き散らかしています。

ですので、皆さんが普通は書かないような事にこだわったりしてしまっています。

生理描写や衛生描写等が重く書いてる本人もスカッと全くしておりません。

お気に召さねばそっと閉じていただけると登場人物たちも喜ぶと思います。

それでも、お付き合いしていただける方はどうぞよろしくお願いいたします。


「....わかった、もう何も言わずともよい! この娘を、護衛さんを、これ以上苦しめるわけにはいかない! ペンだ、ペンを持ってきなさい! 」


大教会長は力強く宣言した。


「今すぐ、全神官....いや、この街の全教会関係者に、最善の『安息』と『向上』を約束しよう!」


さらさらと、優麗に大教会長の承認署名が記載された。


その音を聞き届けた瞬間、ルナはリュンヌを抱きしめていた手をスッと離し、何事もなかったかのように神官服をパッパと払って立ち上がった。


「....交渉成立チェックメイトですわね。お疲れ様、大教会長様。賢明なご判断でございます。」


床に転がったままのリュンヌだけが放置されている。無情にも「安息」を勝ち取った代償として。


「....こいつ、....いつか、....刺す....。」


と心の中で改めて強く静かに誓うリュンヌなのであった。


「....ふふ、大教会長様。そんなに肩を落とさないで下さいませ。『向上ベア』に必要な原資、何も教会の貯蓄を削るばかりが能ではありませんわ。」


「先日のあの粉末のライセンス料、あの浄財の一部を還元すれば済む話ですわ....。ね? 誰も損をしない、幸せな循環でしょう?」


ユニオンの幹部たちが「勝利の凱旋」とばかりに意気揚々と退室し、重厚な扉が閉まった直後だった。


ルナの「聖女の仮面」が、音を立てて剥がれ落ちる。


彼女は大教会長のデスクに身を乗り出し、共犯者を作り上げるような、低く、湿り気を帯びた「悪い目」で囁いた。


「....もちろん、私が新しく浄財(利益)を積み上げた際には、この教会にも大教会長様にも『お布施』に、相応の花を添えさせていただきますわ。」


将来への先物取引をルナは開始する。


「....お孫さんへのプレゼント、喜んでいただける顔が楽しみですね?」


満開の可憐な花の様にルナは笑う。


「お、おぉ....。ルナ君、君という子は....。」


大教会長は毒気に当てられたように、あるいは抗えない誘惑に屈するように、力なく笑うしかなかった。


その光景を、床に転がされたままの格好で見ていたリュンヌは、全身に鳥肌が立つのを感じつつ、強く願った。


(....ルス神様、....今です。....今すぐ、....このお金しか

....言わない....神官に、....特大の....雷を。....ドカンと、....一発……!)


マジで心底リュンヌはそう思った。


信じていた「教会の権威」も、「労働者の権利」も、ルナの手にかかれば彼女が描く「巨大な集計表バランスシート」の上の数字に過ぎない。


「あら、どうしたのリュンヌ? 空を仰いで。ルス神様なら、今ごろ私の手腕に感服して、天界の予算編成を見直してらっしゃるはずよ。」


「....ルナ、....あんた、....絶対、....地獄の、....一番…深い....ところに....落ちる....。」


「あら心外ね。でも、そうなっても私は地獄の沙汰も金で解決して、閻魔様に『安息日』を提案してくるつもりよ?」


ルナは神官服の袖を優雅に翻すと、まだ少しぼーっとしている大教会長を置いて、リュンヌの襟首をひょいと掴み、出口へと引きずり部屋を出た。


ルナは、帰りに商会に立ち寄りベリー味の「元クソマズ粉末」をリュンヌのために購入する。


その後は、果物屋でリュンヌの好きなオレンジを買う。


「ちょっと、何よその目。....人をノドグロの干物みたいに見ないでちょうだい。私は腹黒じゃなくて、『合理的』なだけよ。」


ルナはふいっと顔を背けながら、紙袋をリュンヌの胸元に押し付けた。


中には、例の「元クソマズ」な粉末の新作(ベリー味)と、瑞々しい香りを放つオレンジがどっさり入っている。


「....ルナ、....だって、....あんた....人と....違う....。....神様....怖くないの....?」


リュンヌは、重い果物の袋を抱え直しながら、隣を歩く銀髪の少女を盗み見る。


大教会を丸ごと飲み込み、大教会長を小遣いで手懐け、街の経済に火をつけたばかりの「銭導士」は、何食わぬ顔で夕暮れの道を闊歩している。


「怖い? どうして? 私、ルス神様の代わりに皆を幸せにしてあげたじゃない。」


心底、不思議そうな顔で逆にルナを見る。


「安息日を与え、給金を上げ、美味しいベリー味の薬を開発する機会を作った。....これのどこが『地獄行き』の所業だって言うのよ。」


並べると、至極確かにまともな所業である。

過程を無視すれば。


「むしろ天界からヘッドハンティング(引き抜き)が来てもおかしくないわ。」


ルナは夕日に目を細め、まるでお菓子のレシピを語るような軽さで続けた。リュンヌが諦めの境地にはいるとルナは不満げに言う。


リュンヌはルナの異質さに揺らぎつつも、受け入れようとする気持ちの揺れが出てるのを表現するのは難しいですね。

あと、ルナがこちらが思ってる以上にリュンヌに懐いてる気がするのは気のせい?

次で2章完結です。

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