ムーンライトユニオン
本作品は、中年のおっさんの個人的なAIへの興味から派生し始めたものにつき、
作者が好き放題書き散らかしています。
ですので、皆さんが普通は書かないような事にこだわったりしてしまっています。
生理描写や衛生描写等が重く書いてる本人もスカッと全くしておりません。
お気に召さねばそっと閉じていただけると登場人物たちも喜ぶと思います。
それでも、お付き合いしていただける方はどうぞよろしくお願いいたします。
「....ううっ、....ああっ、あの子のあの謙虚で、それでいて自分を卑下するような悲しい言葉が、今も私の耳....に!」
ルナは胸元をかきむしり、もはや悲劇のヒロインの頂点に君臨していた。
周囲の女性神官たちは、その「さもしい護衛」の健気な(と捏造された)自己犠牲の精神に、ついに堪えきれず涙を流し始める。
「いいですか!? あの子は脂汗を流しながら私に言ったのです....! 」
ルナは、単に初期のリュンヌに対して思っていた
イメージを増幅させているだけなので、言葉にリアリティがある。
『自分のような、泥水をすすって生きてきた下賤な身の上には、月の障りの痛みこそが分不相応な贅沢。」
意訳が過ぎるしそんな事は一言もリュンヌは発していない。
「神に仕える麗しい神官様たちが、一秒も休まず祈りを捧げているというのに、自分が横になるなど万死に値する』と....!」
ついに騎士道精神擬きにたどり着いた。
「そんな....! リュンヌ様がそんなことを....っ!」
女性神官たちの間で「リュンヌ、なんて健気な子なの」という誤解の嵐が吹き荒れる。
もはやリュンヌは、教会の「労働環境の劣悪さ」を浮き彫りにするための、聖女にも勝る悲劇の象徴(生贄)に祭り上げられていた。
「このままでは、あの子の心が折れてしまいます! そして何より、あなた方の尊い体が崩れてしまう....!
長い枕が終わりを迎える。
「さあ、この『安息日導入の嘆願書』にサインを! 」
やっと本題にたどり着いた。
「これはあなた方のためだけじゃない、あの『さもしい護衛』に『休んでもいいのだ』という免罪符を与えるための、愛の署名なのですわ!」
ルナの迫真の訴えに、教会の廊下はもはや嗚咽の海と化した。
階位の高いベテラン神官も、入りたての若手も、今や「リュンヌ」という名の、慎ましやかで健気な(そして完全に捏造された)少女の虚像。
その下に、固い結束を誓い合っていた。
「なんてこと....。私たち、自分たちのことばかり....。」
ある意味世俗まみれでない分、女性神官達は素直である。
「そんな、下賤な....いえ、尊い心を持った護衛さんの願いを無下にするなんて、神官の名が廃りますわ!」
女性神官達の間から熱気がうねり始めた。
「ええ、そうですわ! 私たちがまず休みを勝ち取り、彼女のような子たちが堂々と休める先例を作らねばなりません!」
ルナはハンカチで顔を隠しながら、その裏で口角を吊り上げた。
....勝ったわ。
「同情」は時に「信仰」より強い結束を生む。これで女性神官たちのコミュニティは完全に掌握した。
彼女たちは今、リュンヌという「仮想の犠牲者」を救うために、教会の古い体制へと反旗を翻す準備を整えつつあった。
『安息日導入の嘆願書』は、見る間に署名欄が埋まっていく。ご丁寧にもムーンライトユニオンなる組織名まで書いてある。
更にルナはぶちまける。
「私のような若輩者では役不足。そう、次席司祭様こそが私達の正当性を語るに足るお方。労働組合の委員長にふさわしいのです。」
温厚誠実を絵に書いた様な人物を指名する
「....ああ、次席司祭様。あなた様のその母のような慈愛こそが、今、乾ききったこの教会の救いなのです....!」
ルナの狙いは正確だった。
指名された次席司祭は、教会の実務を一手に引き受け、若手からも「お母様」のように慕われる誠実を絵に描いたような女性だ。
彼女は困惑しながらも、周囲の女性神官たちの切実な眼差しと、ルナの「むせび泣き」に絆され、ゆっくりと立ち上がる。
「ルナ様....。私としたことが、管理の職にありながら、あの子や彼女たちの痛みにこれほどまで無頓着であったとは。」
その目には今までの雰囲気と違う光がある
「....情けない。....ええ、わかりました。私が責任を持って『ムーンライト・ユニオン』の先頭に立ちましょう。」
彼女の凛とした声が響くと、教会の空気は完全に一つにまとまった。
ルナは内心で「よし、最強の弾除け(責任者)を確保したわ」とガッツポーズを決めつつ、顔はまだ涙で濡らしたままだ。
「....あぁ、神よ。これでようやく、あの子も....あのさもしい護衛も、自分の血の涙(生理)を恥じることなく、安らかな眠りにつけますわ....!」
リュンヌ、ついに昇天させられた。
「....さあ、皆様! この『安息』の光は、決して女性だけの特権ではありませんわ!」
ルナは署名で埋まった嘆願書を掲げ、次は教会の回廊から遠巻きに見ていた神官たちへと向き直った。
ルナさん、リュンヌを使いたおしてついに怪しげな組織まで作っちゃいました。
本当にこんな簡単に話がまとまっていたら誰も苦労しませんよね。
ってお話なのでお許しを。
さあ、ルナはこれだけで要求を済ませるのか否か?




