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特選·最強用心棒

本作品は、中年のおっさんの個人的なAIへの興味から派生し始めたものにつき、

作者が好き放題書き散らかしています。

ですので、皆さんが普通は書かないような事にこだわったりしてしまっています。

生理描写や衛生描写等が重く書いてる本人もスカッと全くしておりません。

お気に召さねばそっと閉じていただけると登場人物たちも喜ぶと思います。

それでも、お付き合いしていただける方はどうぞよろしくお願いいたします。


この『柵の工事の警備』なんて、もう3日も放置されてるわ。男は誰もやりたがらないのよ、夢がないって。」


リュンヌは、放置された依頼票をじっと見つめる。


「....ルナ、....言ってた。....『誰もが買える価格の物は必ず作ること』。」


リュンヌは教えを反復するように考える。


「....誰もやりたがらない....仕事....それ、....供給不足。....今、受ければ、....独り占めはだめ法?」


難しい用語を適当に混ぜつつ、リュンヌは「柵の工事の警備」の依頼票を剥ぎ取った。


ルナが寝込んでいる今、誰かが街の「地味な日常」を支えなければ、彼女が元気になった時に「市場が崩壊してるわ!」と喚き出すに違いない。


「....これ、....受ける。....地味だけど、....確実な.....仕事。」


「助かるわ! 報酬に加えて、依頼主から『採れたての野菜』も付けてもらえるように交渉しておくわね!」


「....野菜、....大事。....ルナの、....お粥に....入れる。」


リュンヌはもう一つ気がついた。受付嬢の人数も前より少ない。


「そうなの。この間急に子供が出来たって言って一人やめちゃって。」


リュンヌは「....リュンヌ....、結婚....しない。」と言う。


受付嬢は「なに言ってるのよ!リュンヌちゃんなんかすぐ売れちゃうわよ。」と声を上げて笑う。


「....リュンヌ、....一生、....独身。....ナギナタ、....恋人。」


リュンヌは真顔で、ナギナタの柄をぎゅっと抱きしめた。


受付嬢の「すぐ売れちゃう」という言葉に、市場で並べられる家畜のように言われた薄ら寒さを感じる。


「あら、そんなこと言って。その艶のある黒髪と綺麗な顔だもの、どこぞの騎士様や商人の坊ちゃんが放っておかないわよ? 」


受付嬢はしたり顔だ。


「今のルナ様の勢いなら、あんたもルナ様の『持参金』代わりに狙う輩だっていそうよね。」


まるで物扱いだ。


「....持参金、....資産。....ルナ、....私を....売る?」


リュンヌの脳内に、自分の背中に「特選・最強用心棒」と値札が貼られている。


更に、大声で競売オークションにかけるルナの姿が鮮明に浮かんだ。ありそうすぎて、背筋が凍る。


「....結婚、....引退。....ルナ、....困る。....私も、....困る。....ずっと、....お肉、....食べたい。」


リュンヌは自分に言い聞かせるように呟くと、ひったくるように依頼票を掴んだ。


「....柵の、....警備、....行く。....働いて、....自立。....誰にも、....買われない。」


「ふふ、頑張ってね! 自分の稼ぎで食べるお肉が一番おいしいんだから!」


受付嬢のからかうような笑い声に見送られ、リュンヌはギルドを飛び出した。

結婚して、子供ができて、仕事をやめる。


そんな「普通の幸せ」という名のシステムから、ルナは別の道を示そうとしているのではないか。


そこまで具体的ではないが、ぼんやりとそんな考えに似た思考がリュンヌに浮かぶ。


そして、あの苦い粉末や、女性神官の切実な訴えを思い出しつつ、リュンヌは現場へと急いだ。


現場に到着すると、そこには腰をさすりながら途方に暮れている三人の初老の男性たちがいた。


杭を打つための大きな木槌を前に、肩を落としている。


「....おっちゃんたち、....困ってる?」


リュンヌが声をかけると、一番年配の男性が顔を上げた。


「おお、冒険者ギルドから誰か来てくれたのか! いやあ、助かった。」


男性は心の底からの笑顔を見せた。


「見ての通り、この現場は若い連中がみんな『一攫千金』だの何だので遠くへ行っちまってな……。俺たちみたいな年寄りしか残ってないんだ。」


「....みんな、....もしかして....ルナに、....感染された.。....ごめん。」


リュンヌは、まるでその事が相棒の所業のせいと考え、自分のことのように申し訳なく思った。


「いや、あんたが謝ることじゃないさ。だが、柵が壊れたままだと夜中に野犬や猪が畑を荒らしちまう。」


老人達は、リュンヌが謝ると大げさに手を振り

リュンヌに気にするなと伝える。


「俺たちが杭を打とうにも、周りを警戒しながらじゃあ腰が持たなくてな....。」


「....わかった。....私、....見る。....おっちゃんたち、.....杭、....打つだけ。」


リュンヌはナギナタを脇に構え、鋭い視線を周囲の茂みへと向けた。


彼女が放つ「現役の威圧感」に、遠くで様子を伺っていた野犬の群れがクンクンと鼻を鳴らし、そそくさと逃げ出していく。


嫁にいくのいかんのと言いつつ既に方向性を決めているところはリュンヌです。

ただ、すぐ食べ物で釣られるあたり、大した決心でもないようですが。

順調な滑り出しの依頼ですが果たして無事に終わるのでしょうか?

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