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砥石と宿賃その3

本作品は、中年のおっさんの個人的なAIへの興味から派生し始めたものにつき、

作者が好き放題書き散らかしています。

ですので、皆さんが普通は書かないような事にこだわったりしてしまっています。

生理描写や衛生描写等が重く書いてる本人もスカッと全くしておりません。

お気に召さねばそっと閉じていただけると登場人物たちも喜ぶと思います。

それでも、お付き合いしていただける方はどうぞよろしくお願いいたします。

「さ、行くよボディーガード。」

神官少女がリュンヌに言う。


リュンヌは何かになったつもりなどさらさらない。なのに知らぬ間に手先にされている。


「....待って....! 私....っ。」


リュンヌはぱっちりとした瞳を泳がせ、不格好な得物を杖に踏ん張ったが、少女はリュンヌの華奢に見える腕を躊躇いなく引いて歩き出す。


「何...その...ぼでぃー....。」その意味不明な言葉をリュンヌは口にする。


「護衛よ、護衛。あんなゴロツキ、まだ仲間がいるに決まってるでしょ?」


銀髪をなびかせ、当然の権利のように言い放つ。リュンヌは脂汗を浮かべ、丸まった背中のまま、ずるずると引きずられていく。


「....勝手....。私、痛い....っ。」

膨らんだ頬をさらに膨らませ、呪詛を吐きながらも、手中に握った硬貨の袋の重みに抗えない。


気づけば彼女は、最悪な性格の神官の「盾」として、夕暮れの路地を歩かされていた。


「あんた、宿はどこ?」と神官少女がリュンヌに聞く。


宿の名前を言うと「なに。あんな安宿に泊まってるの?」

人の泊まってる宿まで難癖をつけて来た。


「あんなボロ宿、痒くなる虫でも沸いてそうね。」


神官の少女は、透き通るような碧眼で容赦なくゴミを見るような視線を向ける。


リュンヌは眉を八の字に曲げ、不格好なナギナタをぎゅっと抱きしめる。


「前から....お世話....。」


蚊の鳴くような声で反論するが、少女の毒舌は止まらない。


体調の悪さに追い打ちをかけるような、踏んだり蹴ったりの災難。


リュンヌは脂汗を拭い、足の裏についたガムのような粘つく不運を振り払うように一歩、また一歩と重い足取りで歩を進める。


「....もう....部屋....寝たい。」


膨らんだ頬を震わせ、今にも泣きそうな愛らしい表情で、彼女は強引な「雇用主」の後ろをついていく。


神官少女はリュンヌの宿に当然のようについてくると女将に「二人部屋にしていただけますか?」と小首をかしげて言う。


更に「日当たりのいい部屋はありますか?銅貨1枚上乗せいたしますわ。神のご加護を。」としおらしく祈りつきで言う。


「えっ....!?」

リュンヌはぱっちりとした瞳を点にして固まった。


さっきまでゴロツキの懐を漁っていた手で、少女は神々しいまでの微笑みを浮かべ、女将を懐柔している。


「あら、なんて徳の高いお方! リュンヌ、あんたも見習いなさいよ。」


女将の態度は手のひらを返したように豹変し、リュンヌは脂汗を浮かべたまま、蚊帳の外へ。


「.....私....、部屋.....一人。」

膨らんだ頬をさらに膨らませ、今日活躍したなナギナタを引きずって階段を登る。


神の加護とやらを銅貨一枚で売りつける、この銀髪の悪魔と一夜を共にすることになるとは。


今晩の不安と腹部の重みが、同時にリュンヌを襲う。


部屋に入ると神官少女は「横になりなさい。」と言い出す。


そして階下からお湯を持って来るとリュンヌの腹に湯に浸けた布を固く絞って温めようとする。


「....何、これ。....熱い。」

リュンヌはぱっちりとした瞳を潤ませ、促されるままベッドに身を沈めた。


銀髪の少女は、先程までの強欲さが嘘のような手つきで、温かな布を優しく彼女の腹部に当てる。


「じっとしてて。血の巡りが悪いから痛むのよ。」

不格好な槍を抱き枕のように抱え、リュンヌはふっくらした頬を枕に沈めた。


じんわりと広がる熱が、氷のようだった下腹部を解きほぐしていく。


「….アンタ、やっぱり変なやつ。」

毒気を抜かれたリュンヌの唇から、小さな吐息が漏れる。


悪魔のような聖職者が差し出した、予期せぬ慈愛。その温かさに、彼女の頑なな心は、不器用な猫のように少しだけ丸くなった。


「あたしはルナって言うんだ。マジで神官やってんの。ウケるでしょ。」


「うける....受け皿....?」

リュンヌは首を傾げ、ぱっちりとした瞳をパチクリとさせた。


ルナと名乗った少女が吐き出す、聞いたこともない異国(?)の響き。


「まじ....言葉....変。」

ふっくらした頬をシーツに埋め、不格好な得物を抱きしめる手に少しだけ力がこもる。


「私....リュンヌ....。ルナ....月。私も....。」


偶然の重なりに、彼女は微かな親近感を覚えた。脂汗の引いた顔に、ほんのりと少女らしい柔らかさが戻る。


「あとさ、ちょっと落ち着いたんならこれ飲みな。ちょっと苦いけど楽になるよ。」


ルナは怪しげな粉を出す。


「殺す....気....。」

「毒じゃない、ってば….もう、本当に失礼しちゃう。」


ルナがぷいっと顔を背け、年相応の少女らしく頬を膨らませる。


リュンヌはぱっちりとした瞳を細め、差し出された紙包みを恐る恐る覗き込んだ。


「....死んだら....出る。」


意を決して口に含むと、舌を刺すような苦みが広がって、リュンヌは愛らしく顔をしかめた。


だが、喉を通ってしばらくすると、お腹の底からじわりと不思議な熱が沸き上がってくる。


「….あ....軽くなった....かも....。」

ナギナタを抱え直した彼女の顔に、今日初めて微かな赤みが差した。


ルナってどっかで聞いた薬の名前のようですが真面目にたまたまです。

激マズ粉末から、次にこの傍若無人神官が今度は何を繰り出すのか。どう考えてもリュンヌの落ち着いたらお一人さま空間はなくなっちゃいそうです。

ルナの口調がおっさん的だったら彼女のせいではなくおっさんのせいですね。


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