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予防摂取と過呼吸

本作品は、中年のおっさんの個人的なAIへの興味から派生し始めたものにつき、

作者が好き放題書き散らかしています。

ですので、皆さんが普通は書かないような事にこだわったりしてしまっています。

生理描写や衛生描写等が重く書いてる本人もスカッと全くしておりません。

お気に召さねばそっと閉じていただけると登場人物たちも喜ぶと思います。

それでも、お付き合いしていただける方はどうぞよろしくお願いいたします。


大教会長様。ルス神様の名を汚してはなりませんもの。これはあくまで、一介の神官と迷える羊との『個人的な商談カウンセリング』ですわ。」


ルナはそう言って、手紙に記された時刻を指でなぞった。教会の公認だけ取り付けておいて、実際の行動はフリーハンドで行う。


その方が「追加報酬」を懐に入れやすいという守銭奴の計算に、大教会長は「なんと謙虚で慈悲深い….」と深く感じ入っている。


「....おなか....いたい....。」


リュンヌが呻くと横から小声でルナが説教を始める。


「リュンヌ、しっかりしてよ。」


更に余計な重しをルナは乗っけてきた。


「あんたのその『怯える小鹿』のようなビジュアルが、明日の交渉における最大の『心理的デバフ』になるんだから。」


「....小鹿?....子豚だよ、....死ぬ。」


ルナは大教会長と聖騎士にとどめを刺しにいく。

騎士を見つめ潤んだ瞳で言う。


「私とリュンヌが、明日昼の鐘がなってもここに戻らないようであれば、騎士さまあとで迎えに来て頂けませんか?」


「.....あざとい....。」

死ぬ気もないくせに死ぬような口ぶり。リュンヌはその演技にヤケクソで喝采を内心贈る。


「あら、BCGよBCG、リュンヌ。」


いやなんかいつもと響きが違うとツッコむのをリュンヌはやめた。


「....酷いぃ....。」


リュンヌは騎士の瞳に宿る「守護騎士としての使命感」がルナの演技で限界突破するのを見て、絶望的に呟いた。


騎士は今や、主の教えすら忘れて「聖女と可憐な従者」を救い出す英雄になる未来しか見ていないに違いない。


「お任せください! もし鐘が鳴り終わってもお姿が見えぬ時は、この私、たとえ火の中水の中、騎士団の誇りにかけて駆けつけます!」


「まあ、頼もしい。リュンヌ、良かったわね。これで私たちの『コンプライアンス』は守られたわ。」


可憐なドクダミの花がリュンヌに向いて咲く。


「....BCG、....言いたいだけ。」


腹を抑えるリュンヌを従え、ルナは満足げに鼻を鳴らし、教会の廊下を颯爽と歩き出す。

リュンヌはその後ろ姿を追う。


さっきのBCGって「BCP(事業継続計画)のことかな....。」と、最近ルナに教え込まれた断片的な単語を必死に思い出そうと努力しながら。


が、結局「ルナが言うなら、きっと汚い大人の戦略に違いない」と結論づけて思考を放棄した。また同じセリフしかリュンヌは出てこない。


「....お腹痛い....。」


相手は地元の大有力者で豪商だ。護衛もいるはず。


「ルナ....私....ちゃんとした....相手....勝てない....。」


リュンヌは正直に言う。


ルナは「大丈夫よ、だって雇い主が欲しがってるものを傷つけたらクビよ相手。」


ルナはきっぱりと言い切った


「....欲しがってるもの、....私....?」


リュンヌは己の置かれた状況——「商品兼、無敵のデコイ」としての立場——を再確認し、ますます胃の奥がキュッとした。


「そうよ。スケベ親父の『欲望』こそが、私たちの最大の安全資産なの。欲しくてたまらないものを、手に入れる前に壊す馬鹿はいないわ。」


この神官は世俗にまみれ過ぎである。


「護衛だって、主人の『未来の第4夫人』候補に怪我をさせたら、それこそ首が飛ぶでしょう?」


ルナは算盤を弾くような小気味よい足取りで宿への道を急ぐ。


「だからあんたは、ただそこに『可憐で、今にも折れそうな、でも芯の強い悲劇の美少女』として立ってればいいの。」


ルナはリュンヌに言い聞かせる。


「武力行使は最終手段、今はそのビジュアルを最大限にポートフォリオに組み込みなさい!」


リュンヌは小動物の生首を思い浮かべそうになる。


「....りす....へっど....じゃない、....りすく....へっじ?」


「そう! よく言えたわね、リュンヌ! その調子で明日は一言も喋らず、ただ不安そうに私を見つめてなさい。」


ルナ、よくもここまで言い切れる物である。


「それだけで向こうの罪悪感指数は跳ね上がり、こっちの要求を通すレバレッジになるんだから!」


守銭奴神官の歪んだ称賛を受けながら、リュンヌは「....胃薬....飲む....べき?」と、緑の激マズ粉末を救世主と思うほど追い詰められていた。


「多分、多少は脅しが最後に入ると思うわね。そこで少し暴れて時間を稼げば聖騎士が来る。そこからが勝負ね。クロージングが大切よ。」


成功しか確信していないルナは次の活動に移る。


「さて、ネタの宝庫、市場に行くわよ。」


リュンヌは「....クラクラ....息....苦しい。」


必死で息をしていた。


「ちょっと、過呼吸にならないで! 酸素はタダだけど、あんたの体調不良は今の状況じゃ『機会損失』なんだから!」


ルナはリュンヌの背中をバシバシと叩きながら、無理やり市場の喧騒へと連れ出した。


リュンヌは、これから起こる「豪商への恐喝クロージング」へのプレッシャーで目の前がチカチカしている。


しかし、ルナにとっては、ここからが明日のための「最終的な市場調査(ネタの仕入れ)」の時間なのだ。


「いい? リュンヌ。あの成金おじさんが何で稼いでいるか、何を恐れているか。それを市場の噂話から『回収』するのよ。」


またも諜報員気取りの神官である。


「情報は最大の武器であり、最も原価の安い弾薬なんだから。」


「....クラクラ....息....苦しい。....ルナ、....鬼...悪魔....。」


「失礼ね、私は合理主義の神官よ。ほら、あそこの八百屋のおばちゃんに昨日のリンゴの評判聞いてきなさい。」


リュンヌを押し出し、自分は他の市場の面々を見つつ言う。


「それが明日の『手土産(爆弾)』になるんだから!」


活気あふれる市場の中で、青白い顔をした黒髪の美少女がふらふらと歩き、その横で守銭奴神官がギラギラした目で情報の取捨選択を始めている。


明日の「第3・第4夫人問題」は、もはやただの痴話喧嘩ではなく、ルナによる「金持ちおじさん徹底解体ショー」へと変貌しようとしていた。



ちょっと長くなってすいません。

ルナさんのスパイ小作戦に巻き込まれ、お腹痛くしながらも悪態がつけるリュンヌ。

大分と免疫がついて来たようです。

今の皆さまってBCG知ってるのかな。

さて、いよいよ次は直後会談です。


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