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守銭奴なりの愛情と粉末

本作品は、中年のおっさんの個人的なAIへの興味から派生し始めたものにつき、

作者が好き放題書き散らかしています。

ですので、皆さんが普通は書かないような事にこだわったりしてしまっています。

生理描写や衛生描写等が重く書いてる本人もスカッと全くしておりません。

お気に召さねばそっと閉じていただけると登場人物たちも喜ぶと思います。

それでも、お付き合いしていただける方はどうぞよろしくお願いいたします。


「....やっぱり、....売る気」


「売るんじゃない、陳列するの! あんたのその可愛らしさは、この街の富裕層に対する強力なマネキンになるんだから!」


身の危険を感じたリュンヌは、ルナの背後に「悪徳商人あくま」を見た気がして、そっと距離を置く。


「大丈夫よ、あんたを手放す気なんてさらさらないわ。デコイ、アドバルーン、チラシよ!」


ルナは胸を叩いて豪語するが、語彙が混乱してボディーガードを紙切れ扱いしている。

リュンヌは小首を傾げた。


「....でこい? ....ちらし、....美味しいの?」


美味しいはずがないがルナには美味しいのかもしれない。


「そうそう、食い付く側じゃなくて釣る側ってこと! あんたは私の最高傑作なんだから、適正価格がつくまで私がしっかり抱え込んであげる。」


守銭奴なりの愛情(あるいは独占欲)をガバガバな理論でぶつけるルナ。


リュンヌは「....結局、....道具」と小さく零しながらも、その強引な腕の中にいる安心感に、少しだけナギナタを握る力を緩めた。


「さて、まずは朝のこれ。」


ルナの言葉とともにいつもの激マズ粉末が出てきたが今日は緑がかっている。


「....ルナ....飲んでる....?」


リュンヌはルナに確認する。なにせいつも差し出される桂枝もどきだがルナが愛飲している証拠がない。


「失礼ね、私は経営者よ。末端の苦労を知らずに指揮が執れるわけないじゃない。」


ルナは胸を張り、自分用のコップに水を入れ緑の粉末を用意する。そして躊躇なく口に入れ水で一気に煽る。


一瞬、銀髪の美少女神官の顔が、見たこともないほど複雑に歪み、その場に固まった。


「....ルナ....白目....。」

リュンヌは吹き出しつつ言う。


「....っ....ふぅ。....こ、これぞ健康の証! この喉を焼くような苦味こそが、細胞を活性化させるのよ….!」


涙目で言い張るルナを見て、リュンヌは「....無理してる。」と確信した。


だが、ルナの「QOLへの執念」だけは本物だと認めざるを得ず、諦めて自分用に緑の粉末と水を用意した。


激マズ粉末を口に押し込むとスーッとした爽やかな味がまずした。昨日より更に飲みやすい。が、時間が少し経つといつもの苦さがくる。


ただ、砂と鉄に慣れたリュンヌからすれば感動の進化である。


「....人の....薬....。」


「ちょっと、今までなんだと思って飲んでたのよ!」


ルナがぐーっと顔を近づけて圧をかけてくる。


「....砂と、錆びた釘の味。」


リュンヌのあまりに率直な過去評価に、ルナは持っていたコップを落としそうになった。


だが、彼女はすぐに不敵な笑みを浮かべ、空のコップを掲げる。


「失礼ね、それは『未開発の可能性』よ。でも、今の感動を忘れないことね。あんたの舌が肥えていくのも、私のQOL投資の成果なんだから!」


だがルナの唇の端が小刻みに震えている。


「....ルナ、....顔が、....苦そう。」


リュンヌはわざと言う。リュンヌにしたら既に飲みやすい薬なのだ。


「....っ、これはプラシーボ効果を高めるための演出よ!」


悶絶を隠して言い張る負けず嫌い守銭奴。


リュンヌは、口の中に広がる清涼感の裏側で、確実に自分の「日常」がルナの色に塗り替えられているのを、苦みと共に実感している。


「歯を磨いたら着替えて出かけるわよ。」


ルナが提案する。


「....3....4....になりに....?」


ルナは頬をぷくーっと膨らます。


「なんでそんな、いきなり相手のど真ん中に飛び込むのよ。ちゃんとリスクヘッドしていくわよ。」


「....りす....へっど....」

リュンヌは小首を傾げ、脳内に可愛らしい小動物の生首を並べる。


ルナの怒声が宿の廊下に響き渡る。

「りすの頭じゃねえよ! リスクヘッジ! 損失回避よ!」


ルナは地団駄を踏みながら、護衛の無知を嘆くように天を仰いだ。だが、すぐに不敵な笑みへと切り替え、リュンヌの襟元を整える。


「あの『第4夫人』発言を逆手に取って、こっちの市場価値を認めさせるの。」


ルナの顔に微笑みが浮かぶがろくなもんでない。


「向こうの諸事情を徹底的に洗い出して、こっちが主導権マウントを握りに行くわよ。....行くわよ、リュンヌ。戦場(商談)よ!」


勢い込むルナ。


「....戦場....なら....マシかも。」


ナギナタの重みを確かめ大いなる勘違いをするリュンヌと、算盤という名の武器を研ぐルナ。


二人は奇妙な闘志を燃やしながら、歯磨きのあと宿の扉を丁寧に開けて出て行った。


宿を出ると街の通りをルナはいつもと違う方向に向かう。


自分の作った薬を、他人で試していたと言うのをハッキリさせるムーブとやたらと無駄に用語を撒き散らすルナとついていけずボケるリュンヌ。このパターン、いつまでリュンヌを汚染させず持って行くか悩ましいです。

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