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神聖なる糧(おふせ)

本作品は、中年のおっさんの個人的なAIへの興味から派生し始めたものにつき、

作者が好き放題書き散らかしています。

ですので、皆さんが普通は書かないような事にこだわったりしてしまっています。

生理描写や衛生描写等が重く書いてる本人もスカッと全くしておりません。

お気に召さねばそっと閉じていただけると登場人物たちも喜ぶと思います。

それでも、お付き合いしていただける方はどうぞよろしくお願いいたします。

艶やかなシニヨンから溢れる健康的な輝き。ルナに「血色の最大化」を叩き込まれた、内側から発光するような肌。


そして、本人が無自覚なまま紅を差した唇。

「....リュンヌ。あんた、自覚コストが低すぎ。ほら、前見て、胸張って。」


ルナも男性宿泊客の目を集めつつ階段から姿を現す。


「今のあんたは『歩くハピネスの体現』なの。男たちの視線は、あんたへの期待値という名のインフレよ。」


背後から追いついてきたルナが、面白そうにクスクスと笑いながら耳元で囁く。


「....ルナ、....みんな、変だよ。....私を、見てる。....怖い、よ。」


「怖がる必要なんて一ミリもないわ。それはあんたが『価値ある存在』にアップデートされた証拠。」


ルナはそして全てを台無しにするセリフを吐く。


「さあ、その視線の熱量を全部『お布施』に変換しに行くわよ。広場までは私の隣を、堂々と歩きなさい!」


リュンヌはふっくらした頬を羞恥心と不満で林檎のように真っ赤に染めながら、宿の出口へと向かう。


ただの浮浪児だった少女が、一人の「女」として世界に認識され始めた瞬間。


その当の本人は、自分の美しさがどれほどの武器になっているのか、まだ全く理解していない。


いつもの場所でルナは辻説法を始める。

もはや、リュンヌは既に立たされるのは諦めているので、ナギナタを右手に持ち背筋を伸ばす。


月一の憂鬱な日々は、終わったのでピンと立つ事ができる。ルナの営業ボイスが今日も火を吹く。


「ルス神様は、労働という我々にすばらしい糧を与え給いました。」


毎度の調子だとリュンヌは思ったが、そこから調子が変わる。


「更に、私達女性にはもっときらめく糧、そう子を宿すという神聖なる力まで授けてくださいました。」


「....(な、何なの、今日の内容....)」


リュンヌは背筋をピンと伸ばしたまま、心の中で絶叫した。右手で握った「ナギナタ」が、困惑でわずかに震える。


昨日の夜まで「コスト」だの「効率」だの、世知辛いことばかり言っていた守銭奴神官。


それが、今日は一転して「きらめく糧」だの「神聖なる力」だのと、耳が痒くなるような慈愛の言葉を並べている。


その営業ボイスの使い分けは、もはや大道芸を超越し魔術の域だ。


「....ですが、その輝ける糧を行使するには、時として痛みが伴います。月一の試練に耐え、血を流し、それでも微笑みを絶やさぬ女性たち....。」


わざとらしく手を組み、ルナは頭を垂れる。


『主は仰いました。その痛みを分かち合い、労わる心こそが、真の信仰であると!」


ルナの視線が、わざとらしくリュンヌへと向けられる。

群衆の目も、一斉にリュンヌに集中した。


「(....っ! きた...微笑みの指令....!)」


リュンヌは必死にルナの教えを思い出した。しゃべっちゃダメ。あいさつだけ。そして、微笑む。


「....こん...にちは。」


艶やかなシニヨンを揺らし、紅を差した唇を、ほんの少しだけ左右に引き上げる。


一週間前、脂汗を流して蹲っていたはずの少女が、今は健康的な血色を湛え、明るい橙色のインナーを覗かせながら、凛と立って微笑んでいる。


その瞬間、広場に集まった男たちが、文字通り「おふっ」と声を漏らして一歩引いた。


「ご覧なさい! この少女の清らかな微笑みを! 彼女もまた、主の加護....。」


ルナは思い切り息を吸う。


「そう、主の啓示によって私が調合した『聖なる粉末(有料)』と適切な休息によって、月一の苦難から解き放たれた一人なのです!」


「(.....っ!! 結局、....薬の宣伝....!!)」

リュンヌは引き攣りそうになる頬を必死に抑えた。


三方良し。自分は体が楽になり、街の男たちは目の保養をし、ルナの革袋にはチャリンチャリンと「感謝の対価」が吸い込まれていく。


「.....(.....後で....絶対に....怒るからね….っ!)」


視線だけでルナを刺しながらも、リュンヌは黒山の群衆と、次々に投げ込まれるお布施に、もはや笑うしかない自分に気づき始めていた。


リュンヌはルナの説法のあまりのストレートさに顔から火が出そうだ。

「私は、この神託による粉末を聖なる力を持つ女性の皆様にお分けすることが私の使命と思っております。」


急に左右に手を広げたまま、ルナは聴衆の前を移動して話し出す。


「さすれば、私達、女性は少しでも悩みが軽くなりより働けるようになります。働くとは、はたを楽にする。そう男性も楽になるのです。」


「....(はたを、らくにする....? ....それ、聞いたこと....ない....っ!)」


リュンヌは顔が爆発しそうなほど赤くなるのを感じた。ルナの口から飛び出す、もっともらしい造語や屁理屈の数々。


挙句の果てには「女性が楽になれば男性も楽になる」などという、全方位を巻き込んだ壮大なビジネスモデル(説法)に発展している。


なんか、どこかで聞いた事のあるような事を言いつつ、広告塔にリュンヌを使う鉄板パターンが確立されてきました。

はたをらくにする前に自分が楽になりたい筆者ですが、

ルナさんは順調にQOLの元を集めています。

羨ましいなあ。

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