ルスの奇跡?いやスネルです
本作品は、中年のおっさんの個人的なAIへの興味から派生し始めたものにつき、
作者が好き放題書き散らかしています。
ですので、皆さんが普通は書かないような事にこだわったりしてしまっています。
生理描写や衛生描写等が重く書いてる本人もスカッと全くしておりません。
お気に召さねばそっと閉じていただけると登場人物たちも喜ぶと思います。
それでも、お付き合いしていただける方はどうぞよろしくお願いいたします。
リュンヌは心臓が口から飛び出しそうなほど激しく鳴るのを感じながら、ふっくらした頬を真っ赤に染めて固まった。
「....はずかしい。....こんなの、....やっぱり、詐欺....っ。」
リュンヌは首を左右に振る。
「いいから、黙って塗られるの! これ一塗りで、あんたの『視覚的魅力』が倍増するんだから!」ルナは自信たっぷりだ。
「....何これ、....私じゃない....」
ルナが見せる小さな鏡の中にいる少女は、一週間前の「脂汗まみれでうずくまっていた冒険者」とは似ても似つかない。
風呂のたびにルナから「これはタンパク質と脂質の補給よ!」と、卵黄とオリーブオイルを髪に塗りたくられる屈辱に耐えた甲斐も出ている。
ボサボサだったリュンヌの髪は、今はシニヨンに結い上げられていても、光を反射して艶やかに輝いている。
さらに、ルナに「インナーの色彩は精神のコンディショニングよ!」と強引に選ばされた、明るい橙色のアンダーウェア。
その襟元から肩が見えそうで、リュンヌは落ち着かない気分になる。
「....こんなの、....護衛っぽくない。....戦う....、邪魔。」
リュンヌは不貞腐れた顔でルナに訴える。
「バカねぇ、戦う前から相手を圧倒するのが真の効率化でしょ。」
戦いから一番遠いヤツが何を言うである。
「血色のいい美少女に不格好なナギナタ――その『ギャップ』こそが、見る者の判断力を奪うデバフ(弱体化)になるのよ」
ルナは満足げに、紅を差したリュンヌの唇を指先で整えた。
食事、睡眠、衛生、そして身だしなみ。
リュンヌという「素材」は、守銭奴神官の徹底したマネジメントによって、宝石の原石を磨き上げたような輝きを放ち始めている。
「よし、ポートフォリオの完成ね。これで誰が見ても『ルスの奇跡』に見えるわ」
いや、ただの広告塔の完成である。
「....きせき、なんて....そんな大層なものじゃないのに....。」
リュンヌはふっくらした頬を染めながら、机の上の貝殻をそっと閉じた。
ルナのやることは相変わらず意味不明で強引。
けれど、この艶やかな髪を自分の指でなぞるたび、リュンヌの胸の奥には、今までにない妙な「自信」のようなものが芽生え始めていた。
その自信をすぐぶっ潰すのがルナの得意技だ。
「で、今日の仕事は説法よ。リュンヌに一杯投資したから回収しないと。」
目を輝かせリュンヌを見るがそれは賞賛ではなく、打算の輝きだ。
「....説法....あれ詐欺....。」
リュンヌは自転車の鍵につける鈴の様なボソボソ声で言う。
「何言ってるの。聞いてくれた人には幸福度を、街には平穏を、私達にはお布施を。近江何とかの三方良しよ。わかる?」
またまた意味不明だが変に正論だ。
更にルナはリュンヌの唇に人差し指を当てて言う。
「今日からリュンヌ、胸張って時々説法聴いてる人に微笑む。でも、しゃべっちゃダメ。してもあいさつだけよ。」
またも謎の指令発動である
宿の階下に降りる。
元々、ルナを見て、たいていの若い男性宿泊客が振り返る。美少女だから当然だ。
だが、二、三日前から奇妙な事が起こっていた。リュンヌが用事で一人で階下に降りた時に若い男性宿泊客に振り返られたり、二度見されるのだ。
「....、....?」
リュンヌは階段を一段降りるごとに、肌に刺さるような「視線」の密度が増していくのを感じた。
以前なら、宿のロビーにいる男たちの視線は、派手で口の回るルナに独占されていたはずだ。けれど今日は違う。
リュンヌが一人で歩いているだけで、談笑していた若い宿泊客たちがピタリと口を止め、彼女が通り過ぎるのを首が回るほど二度見していく。
「(....な、なに? 私、またどこか汚れてる……?)」
不安になったリュンヌは、思わず背負った「ナギナタ」の石突きを強く握りしめた。
けれど、男たちの目は蔑みではなく、もっと熱を帯びた、吸い寄せられるような戸惑いに満ちている。
リュンヌの改造が完成に近づいています。
本人のQOL向上になっているかは、甚だ疑問ですよね。
周りの男性にはちょっとしたQOL向上のようですが。
実際そういう立場の女性の方は....ってこれこそ人それぞれですよね。失礼いたしました。
次はいよいよルナの説法が始まる?




