こいつは嫌いです(⚠︎ぶちのめしましょう)
「先生。答え合わせお願いします。」
「……」
「先生? 終わりました。答え合わせをお願いしたいです。」
いくら声をかけても無視される、というのは普通だろうか。
無論、普通ではない。
(こいつ本当に私のことが嫌いだな)
実は最近この先生からの当たりが強いのだ。
先生の答えが間違っていると指摘したことがやはり駄目だったのだろうか。
(だって……間違ってるとムズムズするんだもん)
研究者だった時の名残で、間違いがあれば全て正したくなってしまう。
私の……悪い癖だろうか。
一向に答えが返ってこないのでしょうがなく自分の席に戻る。
「あれ? エリカちゃん答え合わせしてもらわなかったの?」
「……うん。何回も言ったんだけど、聞こえてないみたいで。帰ってきちゃった。」
「そっかぁ。でも、エリカちゃんなら全部合ってると思うよ!」
「ふふっありがとう。」
照れながら励ましの言葉をくれる男の子に胸がきゅんとする。
なんて可愛いんだろう。20歳掛ける99回足す8歳で、今の私の精神年齢は1988歳だから、大の大人でも可愛く見えるが、やはり小学校低学年は特段に可愛い。
「エリカちゃん! ここが分からないの。 教えてほしいー!」
「僕も! 僕はこの引き算がよく分かってなくて!」
1人、また1人と駆け寄ってくるクラスメイトに心がほんのり暖かくなる。
(ああああああああ可愛い)
よしよし。ここは教師だった頃の教え方で分かりやすく教えてあげようではないか。
「この部分はね、この数を持ってくると——」
「エリカちゃん! 答え合わせで持ってきていないのに他の人に教えたら駄目でしょ!」
いきなり教師の怒号が飛んで、周りにいた子達が肩をすくめる。
「……でも、先生。私さっき持って行きました。先生はお忙しい様子で、聞こえていらっしゃらなかったので——」
「誰にでも聞こえない時くらいあるでしょう!? 答え合わせにくるのが面倒くさかったからって先生のせいにしない!」
(こいつ頭イカれてんじゃないのか!?)
いけないいけない。口が悪く——
「全部自分が合ってるとも限らないんだから、他の子に教えても他の子が迷惑だよ。ちょっと自意識過剰だと先生は思うなぁー。」
(どうやって教師になったんだこいつ!?)
「では先生がみんなにお教えになったらいかがですか」
「先生は忙しいの、見たらわかるでしょ? わがまま言わないで」
(こいつ本当に大丈夫かー!?)
「でも、あたしがエリカちゃんに聞きに行ったの。エリカちゃんは教えてくれてだけー」
「僕も聞きに行ったー」
「エリカちゃんはみんなに聞かれて調子に乗っちゃったのよ。みんなは先生が忙しそうだからしょうがなくエリカちゃんに聞いてるのに。遠慮せずに先生に聞きにきてくれたらいいのよー」
呆れて言葉も出ない。これは……嫌われている……のだろうか?
この日はチャイムでお開きになったが、これは——
(反撃が必要かもしれない)
元々強く言われてナヨナヨしているような小学生ではない。
売られた喧嘩は無意識に買ってしまうような、イケイケ押せ押せ小学生だ。
しかも99回の人生で積んできた経験がある。プラスアルファでこの魂は美少女に宿っている。
(これはやるしかないでしょ)
こうして私は計画を立て始める。




