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エリカの日常 〜人生100回目小学生の物語〜  作者: 羅琴


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6/9

小学生への嫉妬

「俺が先に使おうと思ったんだぞ!」


「僕が先に使おうと思ってた!」


小学生って……。

思わずため息をつきそうになる。

多分顔がうんざりしてるだろうな、と思う。


小学生がそんなものだということは理解しているつもりだけれど、実際に自分が喧嘩に巻き込まれたり当事者になったりするとさすがに疲れ果ててくる。


今は縄跳びをどっちが先に使おうと思っていたか、という喧嘩だ。

縄跳びくらい他にもいっぱいあるでしょう、と言いそうになったけれど

あいにく小さな村の公立小学校のため、縄跳びは数本しかない。


「私もう遊び終わったから。どうぞ。」


はぁ、とため息をつきながら1人の男の子に縄跳びを差し出す。

決して縄跳びが惜しかったわけではない。

ただ単に縄跳び以外にすることがないからだ。


もう図書室の本は全て読み終わってしまったし、もちろん教室の本棚に置いてある本も全部読み終わった。

付け加えるとしたら、5周はした。


年頃の女の子たちと絵を描いたり、折り紙をするといったことにも飽きて、良い運動になると縄跳びを選んだのだが……これも失敗だったようだ。


「何か紙をもらえる? 私もお絵描きしたいな!」


しょうがなく女の子の輪へと入っていくが……




「エリカちゃんすごーい! この絵ちょうだい!!」


「私が先にお友達になったんだよ! だから私にくれるの!」


ついつい画家だった頃の癖で風景画を描いてしまい、またもや喧嘩が始まった。


「これは私の大好きなお兄ちゃんにあげるの。だからみんなだめだよ。」


こういう時の「お兄ちゃん」という言葉は最強で。

兄が中学校を休んで授業参観に来た時を思い出したのか、全員黙り込んだ。


「お兄ちゃんにあげるなら我慢するよ。じゃあ次に書いたのは私にちょうだいね」


「お兄ちゃんの次にエリカちゃんが好きなのはあたしだよ!」


「っ〜!」


あああああああああああああああ


いけないいけない。あまりの鬱陶しさに思わず叫び出しそうになるのももう日常茶飯事だ。


なぜこんなにも今世は好かれるのか。本当に訳がわからない。




「エリカ! 迎えに来たよ!」


「えっ お兄ちゃん!?」


中学校ではないのか。


この時代の中学校って義務教育じゃなかったっけ!?


「エリカの顔が見たすぎて早退してきちゃった。」


授業は!? 確か兄は私学の特進コースに通っているはずだ。

1時間で授業は随分進むはず。


私の考えていたことが分かったかのように、兄は朗らかに笑った。


「課題を一週間分先に出し終わったから、先生も帰してくれたんだ!」


嘘だろ……そんなに妹への愛って強いのか……?


「お、お兄ちゃん! でも私、今から集団下校だから——」


「先生には事情を話してきた! さぁお兄ちゃんと帰ろう!」


「え」


事情ってなんだ


何を話してきたというのだ


そのまま兄に抱き抱えられて私は教室をでた。


「かっかばん! かばんがまだロッカーに——」


「もう持ったし大丈夫だよ」


いつの間に!


兄の肩には鞄がかかっている。


「エリカちゃああああん! またねー!」


「また明日遊ぼーねー!」


教室の窓から身を乗り出して手を振ってくれているクラスメイト達に仕方なく手を振りかえす。


「……あの子はなんだ」


「え?」


兄の言葉に思わず目を瞬く。


「あの子って……?」


「あの男だ」


男!? 男の人なんて教室にはいなかったはずだ。

いたのは、クラスメイトの——


「馴れ馴れしく手を振って。あいつは絶対エリカに気があるぞ。」


気がある!? あの小さな男の達が!? 私に!?


思わず反応しそうになったが、小学2年生は「気がある」なんて言葉使わないし、意味も分からない。


「な、なぁに? それ」


いけないいけない。思わず声が裏返りそうになった。


「あいつだけじゃない。他にもだ。大方全員じゃないか?」


「だ、だから何が?」


「……まだエリカには早いよ。なんでもない。」


(なんでもないなら口に出すな! どう答えたら良いのか分からない!)


もしかして……嫉妬? 兄が? 私のクラスメイトに? 小学生だぞ


——いや、この兄ならあり得る。


泣きそうになりながら必死に縋りつく。


「お兄ちゃん! 早くおうちに帰ろうよ。私お母さんの作るスコーンが食べたい!」


「そうだな。早く帰って3人で作ろう。」


「えっ お兄ちゃんも作るの?」


「ああ。たまにはエリカに教えてもらいたいなと思って。」


その爽やかな笑みに思わず打たれそうになる。

なんとか直撃は避けれた、はず。


絆されるのも時間の問題だ。

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