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エリカの日常 〜人生100回目小学生の物語〜  作者: 羅琴


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今世の容姿

率直にいうと、鏡を見る機会があった。


心の準備ができていなくて、私が写っているのだとしばらく理解できなかった。


「このひとだあれ?」


そこにいたのは、まるで濡れガラスのような艶やかな黒髪をもつ少女。


まだ赤子だというのにオーラが滲み出ているようで、思わず目を細めたのは言うまでもない。


限られた時間帯に海がエメラルドグリーンになる。瞳はまるでそれだった。


太陽というより、星々の輝きを全て詰め込んだかのような聡明さ溢れる瞳は長いまつ毛で縁取られており、私が傾国と謳われた時よりもこの子は美形なのではないかと思わず考えた。


「雪のように白い肌の白雪姫」という言葉を聞いたことがあるだろうか。かの有名なグリム童話だ。


今までその一文を疑ってきたのだが、この瞬間今までの考えを反省した。


(雪のように白い肌って存在するんだ)


本当に、白かったのだ。


白いと怖い。病人みたいになるはずが、そうでもない。ほんのりと赤みが刺している頬にくすみひとつない滑らかな肌。


ああ、この子の大人になった姿が見たいなぁ、なんて。考えていたら——


「そうか。初めて鏡を見たのか〜 本当にエリカは可愛いなぁ。これは鏡といって、自分の姿が映るんだよ。ほら、これがエリカだ。」


私が兄に抱き上げられると、その子も兄に抱き上げられる。


まさか。こんな可愛い子が私なわけ——


「ああ〜可愛い。本当にエリカは可愛いよ」


ああ、これなら家族が激甘になるのも分かる気がする。


この子なら——いや、自分か。

エリカなら、目に入れても痛くないと思う。本当に。


醜かった人生の私に少し「美」を分けてあげたいくらいだ。


こんな綺麗に今世では生まれてくることができてよかったなぁ……いや、良かったのか?


可愛らしいから両親からも兄からも可愛がられているだけで、醜かったら見放されていると思う。


これは、99回の人生で学んできたことだ。醜ければ見捨てられ、美しければすり寄られる。


今世でも「美しいから」といって何かできなくなるのではないか。


(もううんざりだ)


美しい顔で生まれてきたことで無理やり芸能界に入れられたこともあった。


家計が回らず自分を画家に売り込んだこともあったと言うのに。


今世では容姿で苦労しないことを祈るばかりだ。


「エリカぁ〜 ほら、こっちにおいで〜」


「おとーしゃん! おかえりなさぁーい!」


父の胸に飛び込んでくっと眉を寄せる。


(事故とか……酷い怪我を負ったらこの優しさも無くなるのに。)


人間の本性を知っていながら、少しずつこの人たちに懐柔されている自分自身に腹が立つ。


(この人達も人間、この人達も人間、この人達も人間……)


ああ、人間じゃないものに生まれ変わりたかったかもしれない。

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