兄が更生
3歳。
思惑通り、兄はとっても優しいちょっとシスコンな……いや、重度なシスコンとなっていた。
これは予想外の結果だ。
今日も今日とて両親と兄にこれでもかと甘やかされて、私じゃなかったらわがままに育ってたぞ、と思う。
「エリカ〜おはよう、目が覚めたか? お兄ちゃんが朝ごはん食べさせてやるからな〜」
あんなに冷たかった兄がどうしてこんなに甘くなったのか。
思わずため息をついてしまう。
「どうした? エリカ、元気ないな。ベッドの寝心地が悪いのか? 買い替えるか〜なぁ、母さん。」
「そうねぇ。寝にくいんだったら買い替えた方がいいわよね。」
やばいやばいやばいやばいやばいやばい
私のせいでこのベッドが捨てられてしまう。
「あ、あああ〜! このベッドしゅきー! すてちゃ、いや!」
必死にベッドを庇う。
少しでも表情が暗くなったらこうして心配されてしまうから困ったもんだ。
3歳児なんてみんなこんなもんだというのに。
「無表情大作戦」の効果が覿面すぎてやりすぎた気がする。
◇◇◇
時は遡り、0歳。
効果はすぐに出た。
ずっと兄に対してだけ笑っていたら、いきなり私を持ち上げたのである。
不器用に、はにかむようにして笑って見せたレンは、それから私に対して激甘になった。
両親は口を大きく開けて驚いていたから、きっと私に感謝しているに違いない。
少しづつ両親に対しても笑うようにしていくことで、兄は自分が妹と両親を繋いだと自信を持つ。
その、予想通りだった。
エリカが笑った、ありがとう
レン、あなたのおかげよ
もうすっかりお兄ちゃんだな
さすがレンね
両親からの褒め言葉で兄も少しづつ素直になっていった。
こんな素敵な両親からなぜこんな捻くれた子どもが生まれ、育ったのかずっと不思議だったが、きっと神のいたずらだったのだろう。
神のいたずらに打ち勝つことができ、兄を更生させるという目標が果たせたため達成感と満足感でいっぱいである。
◇◇◇
「おにーたん、だっこ!」
少し甘えてやろうと両手を上げれば、満面の笑みで兄が私を抱え上げる。
3歳になった今、家族みんなが私の一挙一動を見守っており、怖くて仕方ない。
まだ8歳のはずなのに、案外力が強く、レンは毎日のように私を抱き上げている。
「ほら〜お兄ちゃんだぞー。たかいたかーい!」
「たかーい!」
少しきゃっきゃっと笑ってやれば、ほら。すぐに幸せそうな満ち足りた顔をする。
この時の私は、自分の計画が成功したことに何も疑問を持っていなかった。
あの時の計画はやり過ぎだったかもしれない、と後悔するのは、私が小学校に入った頃。
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