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エリカの日常 〜人生100回目小学生の物語〜  作者: 羅琴


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2/9

100回目の人生

今では兄となったレンだが、妹ができるまでが凄かった。

「一言では表せない」と両親は言う。

傘をふり戦闘ごっこをする、家の中を走り回って手当たり次第解体していく——これは普通かもしれない。

しかし、出かける度に物を無くし、どこにいようと大声で叫び、両親への暴言と暴力は尽きなかった。


それに対してエリカはどうだ。何も話さず、笑わず、泣かず……ただ、頷くだけ。


もちろん両親は何度も医者へと連れて行った。

しかしストレスでもなく、病気でもない。ただこの子の個性です、と言われるのだ。


感情を表に出さないえりかに途方に暮れていた時、エリカを初めて笑わせたのがレンだった。


両親が目を離している隙に、エリカを抱き上げたのだ。

5歳にしては力の強かったレンは、ヨロヨロとだったがエリカを少しだけ持ち上げた。そして不器用に笑って見せたのだ。

しばらくレンの不適な笑みしか見てこなかった両親は思わず目を見開いた。


(レンってこんな風に笑える子だっけ)


そして驚くことに、何をしても笑わなかったエリカが声をあげて笑った。

両親は思わず口を開いた。


(エリカってこんな風に笑えるんだ)



◇◇◇



生まれた瞬間、ただ私は「ああ、また生まれ変わったんだな」と思った。



どこか温かいところでふわふわと浮いている感触があり、寝て起きてを繰り返していた。

なぜか目は開かず、ああ、星がいっぱいの夜空とかがみたいなぁ、とのんびり考えていたのを覚えている。


空気が変わったのは突然で。苦しいような、息がしやすいような、言葉では表せない不思議な感覚。


声をあげて驚くようなことではなかったから、特に何も喋らなかった。

けれど、これまでの経験から「ああ、また生まれ変わったんだな」と思った。

今回で、100回目だった気がする。区切りのいい数字だし、今回の人生は何か特別なものになるだろうか。


「おめでとうございます! おとなしい女の子ですよ!」


知らない女の人がそう言って私を何か柔らかいものの上に乗せる。

どくん、どくん、と心臓みたいな鼓動が聞こえてきたから、ただ冷静に「ああ、お母様の胸の上か」と思った。


「……っ……生まれてきてくれて、ありがとう。……エリカ。」

「お母さん似じゃないか? ほら、妹だぞ。レン。」


感動的なシーンなのだろうけれど、何しろ100回目の人生だからあまり心に響かない。


2回目の人生は興奮したなぁ、と頭を撫でられながら考える。


2回目は確か、江戸時代の日本に平民として生まれ落ちた。

徳川家光公により鎖国され、海外との交流が途絶えた頃だったと思う。平民に生まれたけれど、まるで教科書の中で生きているみたいで、毎日が驚きでいっぱいだった。


初めての生まれ変わりだったから「自分には何か使命があるのかも!」と興奮したのを覚えている。


3回目はヴィクトリア朝時代のイギリスに侯爵令嬢として生まれ落ちた。歴史ある上位貴族の一人娘だったため、1回目と2回目の人生と比べると随分裕福だった。


3回目の人生以降も何度か貴族として生まれたけれど、パーティーやお茶会での立ち振る舞いは3回目の人生で家庭教師から叩き込まれていたからか、あまり苦労しなかった。


地球ではない異世界で勇者として生まれ落ち、魔王を倒すという使命を授かった時もあったし、聖女として様々な病気や呪いを治し、民に感謝された時もあった。


もちろん地球に生まれ落ちた時もあって、

未来の日本で科学者として活動した時や、初代サウジアラビア王の友達として政治に口を出したことを覚えている。


どの人生もあまり似ていなかったけれど一つだけ確かだったのは、どの人生でも20歳で亡くなったということ。

理由は——分からない。

病気の時もあったし、事故の時も、殺された時だってあった。

どんな死に方にしろ、20歳の誕生日に私は亡くなるのだ。

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