新たなプレイヤーの影
呪骸獣を倒し、迷いの森を脱出したマコと楓は、村の広場へと戻ってきた。
村人たちは二人の無事を喜び、すぐに歓迎ムードになったが――
「悪い、ちょっと先に確認したいものがある」
マコはウィンドウを開き、クエスト報酬の確認をする。
【クエスト報酬】
・500P
・神秘の指輪(覚醒専用)
【現在の神様ポイント:850P】
「指輪か……」
マコはアイテム欄から神秘の指輪を取り出した。
装飾もないシンプルな銀色の指輪。だが、その表面には小さなルーン文字が刻まれている。
「装備してみたら?」
楓に促され、指輪を指にはめた瞬間、光が走った。
《新たな覚醒効果 解放》
【覚醒スキル継続延長+30秒】
【覚醒時、新たなスキルをランダム解放】
「こ、これ……ヤバくね?」
「覚醒時間が延びるのね!マコなら、もっと強くなれる!」
マコの心は自然と高鳴った。
この力があれば、次の戦いも――
20章 再び賭け神ヴァルグ
そのとき、またもマコの耳に神様の声が響く。
『おーい、覚醒王。よくやったな』
「……ヴァルグかよ、今度は何だよ」
『お前が呪骸獣倒した瞬間、神界の賭けがとんでもねぇことになったぜ。オレの賭け、大当たりだ』
ニヤリとした声が響く。
『ほら、特別に教えてやる。この世界にはお前以外にも異世界プレイヤーがいる。そいつらも異なる神様に賭けられて、今それぞれ動いてる』
「他の……プレイヤー?」
『そうだ。中には覚醒系、鉄壁系、魔導系……色んなヤツがいる。しかも、お前と同じ“神様ポイント”で強化してやがる』
マコの背筋がぞくりとした。
「つまり……これからそいつらとも戦うことになるのか」
『フフ、そういうこった。負けんなよ、覚醒王。オレの賭けの期待株なんだからな』
声が消え、ウィンドウが一つ開く。
《新クエスト解放条件達成》
【異世界プレイヤーとの遭遇イベント発生中】
「来やがったな……」
マコは拳を握る。
だが、不思議と恐怖よりもワクワクの方が勝っていた。
その頃。
遥か遠く、別の街で。
一人の男が神様ポイントのウィンドウを見つめていた。
「……覚醒王?フッ、面白ぇ」
男の背後には巨大な鋼のゴーレム。
肩には漆黒のマント。腕には異世界プレイヤー証の刻印。
「俺は鉄壁のアルド。お前の首、必ず獲りに行くぜ」
そして、その男の神様もまた賭けに興じていた。
『さあ、神々の遊戯はまだ始まったばかりだ――』




