緑地と第二の敵
翌朝。
マコは目を覚ますと、すぐにウィンドウを開いて装備とアイテムを確認した。
【現在の所持アイテム】
・エナジードリンク ×2
・缶コーヒー ×1
・緑茶缶(神様ポイントショップ新入荷) ×1
【現在のステータス】
HP:10
攻撃力:1
防御力:1
速度:1
「くそっ、覚醒しなきゃクソ雑魚もいいとこだな」
だが、300Pの報酬で新しく緑茶缶を手に入れていた。
「カフェイン量はコーヒーより少ないけど、持続力が長い」
そうウィンドウの説明欄に記されている。
「これで覚醒時間を延ばして、次のヤツ倒せってことか」
準備を終え、教会の前に行くと楓が待っていた。
彼女は杖を手にし、白いローブの裾を軽く払う。
「マコ、私も一緒に行く」
「え、でも危ないぞ?あの神様も★3推奨って言ってたし」
「だからよ。私、回復魔法と補助魔法なら得意だから。もしもマコがピンチになったら、私が守る」
マコは楓の瞳を見つめ、その真剣な眼差しに押される。
「……分かった。頼むぜ、楓」
二人は村の外れにある迷いの森へと向かう。
空は曇り、冷たい風が森の中を抜けていった。
森の中は、昼間だというのに薄暗く、木々がうねるように生い茂っていた。
道なき道を進みながら、時折現れるゴブリンやスライムを覚醒せずになんとかやり過ごす。
「さすが迷いの森、めちゃくちゃ歩きにくいな」
「この森、入ったら出られないって言われてるの。でも、呪骸獣はきっとこの先よ」
と、突然楓が立ち止まった。
「待って、マコ。前!」
視線の先に、奇妙な光る植物が生えていた。
その光を見つめた瞬間、足元の地面が崩れ、二人は穴に落ちた。
「うわあああっ!?」
ドサッと地面に叩きつけられるマコ。
周囲は暗闇。しかし、ウィンドウがすぐに警告を出した。
《ダンジョントラップ発動》
《呪骸獣の巣窟》
《ボス遭遇まであと30メートル》
「い、いきなりかよ……!」
楓も無事らしく、すぐに駆け寄ってくる。
「マコ、大丈夫!?」
「ああ、ついに来たみたいだな。覚悟決めるか」
マコはエナジードリンクを手に取り、プルタブを引いた。
「これが……俺の覚醒の鍵!」
ごくりと飲み干した瞬間、再び体の内側が熱くなる。視界にウィンドウが開き、覚醒状態の発動を確認する。
《カフェイン摂取確認》
《覚醒可能状態》
「行くぜ……覚醒発動ッ!!」
体から黄金の光が放たれ、マコのステータスが爆発的に上昇する。
暗闇の奥から、重々しい足音が響く。
ズズン、ズズンと揺れる地面。
やがて姿を現したのは
巨大な獣の死骸を纏った怪物。
目は血のように赤く、背中から黒い煙を上げる異形の存在だった。
「うわ……デカっ……!」
【呪骸獣】
推定レベル★3
HP:850
攻撃力:220
防御力:180
「おいおい、マジでヤバイぞこれ」
だが、マコは覚醒状態。今ならいける。
「楓、サポート頼む!」
「任せて!」
楓は【プロテクトライト】を発動し、マコの防御力をさらに底上げ。
「行くぞ! ぶっ飛ばしてやる!!」
呪骸獣が咆哮し、突進してくる。
マコは拳を握りしめ、迎え撃った。




