95話「カウンター・ハイキック」
「多分……その剣なら、山だって真っ二つにできるかも、ね」
流石の毒人(華白)であっても、この斬撃攻撃が命中しまったら、キレイに一刀両断されてしまうだろう。しかれども、華白は大剣の間合いを直感的で計算し、斬撃の軌道の隙間を潜りぬけ、「ヒラリ♪」と踊るように悠々と躱した。
大剣の刃先が空中を切り裂き、激烈な一閃が毒の沼を殴りつける。
凄まじい一撃が泥面に直撃し、毒泥の水しぶきが跳ね、荒神業魔の顔面にかかってしまう。
「✕△✕ッ……! 」
跳ねた毒泥が目に沁み込んで、悲鳴をあげてしまう荒神業魔。
混乱しながらも頭をブンブン振って、顔についた毒泥を拭い取った。斯くして、クリアになった視界で、真二つにした筈の「華白の死体」を確認しようとする、が……
「……殺し合い中に、ヨソ見は悲しいかも。寝坊助さん」
「〇✕〇? 」
荒神業魔の一歩前にて、無傷の華白が棒立ちしていた。
「△ッ? 〇△〇ッ! 」
華白の芸当にマヌケな声を出す荒神業魔。
無論、華白はその一瞬を見逃さず、右脚を一歩踏み込んでから、ウサギやバッタのようにテンポよく跳ね、荒神業魔の頭の位置7~8mまでジャンプ、空中で鮮やかにスピンしてから……
「それじゃ、わたしのターンかも」
左脚を180度レフトスピンの勢いに乗せ『回し蹴り』を畳みかけた。
「はあ! 」
華白の爪先が急加速し、荒神業魔の頬にクリーンヒット。
荒神業魔の姿勢が大きく崩れ、彼の脳天にシャープで鈍重な衝撃が駆ける。
ーーードオオオォオオオオオオン!ーーー
毒の沼地全体に、核弾頭が炸裂したかのような爆発音が炸裂。想像を遥かに超える衝撃によって、荒々しい津波が発生してしまう。
「✕〇✕?! ……! 」
たった一撃の回し蹴りで、全長7mもの荒神業魔が宙へぶっ飛ばされ、毒沼の上をバスケットボールのようにバウンドしながら転がってゆく。
そして、荒神業魔は10m先まで転がり、顔面から毒泥へ墜落。
合わせて、華白は毒泥へ身軽に着陸してみせた。




