94話「形勢逆転?」
「〇✕〇ッ……」
荒神業魔は数十本もの触手を束ね、ソレを『大型・鉄球形態』へ変形させた。
「はへ~まさに、巨大なボーリング球かも」
「〇△〇、○○○ッ! 」
華白の挑発に乗せられて、荒神業魔が怒りのままに大型鉄球を投擲。
全長7mもの鉄球が、辺りの毒泥を蹴散らしながら、華白にむかって突っこんでくる。
闘牛の如く、猛スピードで迫り来る鉄球。
華白は右側へ姿勢をズラし、眼前まで迫りくる『死(巨大鉄球)』にコメントした。
「当たったら、ひき肉になるかも……だけ、どッ」
巨大鉄球の進行ルートを先読みして、右側へサイドステップ。
右脚の爪先が着地すると同時に、体をしなやかに捻り、巨大鉄球の追突をスレスレで回避する。
「おしかったね。外れ…かも」
「〇✕〇?! 」
鉄球がターゲット(華白)の真横を通過。
華白の後方に広がる毒沼へ「ドォウ! 」と落下し、鉄球が墜落した衝撃で毒泥が四方八方に散らばってしまう。
荒神業魔は平然としている華白を睨み、歯ぎしりしながら鉄球を引き下げ、再度……触手を束ねグニュグニュと『別の形態』へ変形させた。
「まだ、変身するんだ。器用だね」
華白は次の『触手形態』を見て、エメラルドグリーンの瞳をそっと光らせた。
「それって、大剣? 懐かしいかも」
(この大剣には借りがある。最初に、散々イジメられたから……)
巨大・大剣形態は、毒森北側の初戦で華白を絶望に陥れた存在だった。
が、しかし……華白は顔色一つ変えずに宿敵の大剣形態を認識。
「でも……今のわたしは、あの時とは『ちょっとだけ』違うかも」
重ねて、一歩一歩ゆっくりゆっくりと、荒神業魔の方へ歩みを進めてゆく。
「ガタガタ震えちゃって可愛い。これじゃ、デカいだけのウサギかも」
「〇△〇ッ……△△△」
華白の煽りコンポが炸裂し、荒神業魔は100%激昂。
「〇△〇、○○○○○○○○! 」
触手大剣を真上から垂直に、華白めがけて振り下ろした。




