93話「異変と変化」
……1、2、3秒……
秒間隔の沈黙が連鎖してゆき、二つの怪物が火花を散らす。
そして、先手を打ったのは荒神業魔。
「〇△〇、○○○! 」
触手の一本を「槍形態」へ変形させ、死の一撃をターゲット(華白)の頭部めがけて打つ。その一撃は銃弾よりも遥かに速い、が……
(時間が止まったように、見えるかも)
華白は棒立ち姿勢を維持したまま、クイっと首を左へ傾け、超音速の槍攻撃を必要最低限の動作で容易く回避してみせた。
「おっそいな~。こんな必殺技、亀だって避けられるかも」
「〇✕〇、△△△?! 」
超スピードの一撃を躱された事に、焦りを隠せない荒神業魔。混乱しながらも、二発目の槍攻撃で華白の無防備な胸部(心臓)へ追撃する。
「だからぁ、百億年おそいかも」
華白は唄うように呟き、槍攻撃の「角度・範囲・速度や力量」をパッと見で解析して、滑らかな掌で槍の先端へソフトタッチ。一切の力を入れぬまま、チタン合金をも貫く槍攻撃を軽くあしらった。
(素手で槍に触っても、チクリともしない。毒の沼のお陰で、体が戦車よりも堅くなってるんだ)
華白は劇的なステータス上昇を実感しつつ、我が物顔で毒の沼地を踏み進んでゆく。




