表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/245

6話「女神さま…ショタにフラれてしまう」


 ルルナは外野の二人(華白と翼)を気にせず、カケルの返事を待つ。


 …しかし…


「いりません」


 愛野カケルは一生に一度とない女神からの贈り物を、たった一言で断った


「…………は?♪ 」


 誰も予想できなかった展開に、ルルナの口から間抜けな声が漏れる。

 当然、外野の二人(華白と翼)も驚きを隠せない。


「え、えぇ……」

(雑用兵が、女神さまの好意を断るって…流石に、ヤバいんじゃ…)


 また、翼はイケメン面を鬼の形相にして、屈強な拳をギュッと握りしめた。


「オマエ、いい度胸だな」


 だとしても、カケルは顔色一つ変えぬまま、格上の女神に己が信じる道義をぶつけた。


「そんなモノは力のない人々を守るためにあるんです。ボクじゃなくて、子供や老人たちに譲ってあげてください」

「……なるほど。カケルさん、貴方の戦う理由が分かりましたわ。貴方は……弱者のために戦っているのですね♪ 」

「そうです。逆に、こっちが聞きたいです。希望の女神が戦う理由を…」

「わたくしの使命ですか? 本来なら、有象無象に心の内を明かすメリットはありませんが~カケルさんは特別です。教えて差しあげましょう」


 希望の女神が戦う理由、それは…


「全宇宙の正義を貫き通す! ソレが、わたくしの『戦う理由』ですわ♪ 」

「せ、正義ぃ?」


 ギャラリーの華白は、ルルナが唄う神スケールの目的に仰天してオウム返しする。


「すべての宇宙上から悪を『消毒』し、清浄なる世界を完成させる。それが『正義の味方』としての、わたくしの真実ですわ♪ 」

「消毒、か…七神さま。ボクは違うと思います」

「一般人から正義を否定されるとは……傷つきましたワー。では♪ 今度は、わたくしが問う番です……愛野カケルさん、アナタの『戦う理由』を」


 150㎝のショタ男と完全無欠の女神。お互いの視線がバチバチとぶつかり合う。


「誰かを助けるのに…愛とか、正義とか、希望とか…そんなキラキラした幻想はいらない。ボクは……」


 カケルは逃げも隠れもせず、1人の人間として胸に宿した想いを告げた。


「今、泣いている誰かを…なんてことない『欠落した世界』を助けたいんだ」

「……失敗作や出来損ないのために、戦うと仰るのですか?! なんと、愚かな……」


 ルルナが怒りと嫌悪感が混じったような表情を浮かべる。


 ………と、不愉快な沈黙が連鎖してゆき、華白は心の中で「ヤバい!」と声を裏返した。


(何なの~この! 爆発寸前のダイナマイトを握ってる感じィ! )


 案の定、華白が危惧した通り、翼の怒りが沸点に達してしまう。


「好きに言わせておけば! 一般人如きがッ、七神さまの正義を愚弄するのか! 」


 翼が主(希望の女神)を馬鹿にされた! とイケメン面を噴火させ、カケルへ詰め寄って鉄拳制裁の姿勢を構える。


(生意気言ったから、カケルが粛清されちゃう?!)


華白は条件反射的に、幼馴染のピンチを探知して…


「やッ、やめてへェ~」


 ヘナヘナな声を上げながら、カケルと翼の間へ介入した。自ら170㎝の肉壁になって、150cmの男を庇った。


 翼は華白に行く手を妨害され、苛立ちつつも拳を引いた。


「華白一等兵……こんなヤツを庇うのかよ?」


 極めつけに、華白は膝を落し正座をしてから、なめらかな両手を地に這わせてから……


「め、女神さまのお考えに…ケチをつけてしまい…申し訳ございません~代わりにぃ、わたしが懲罰を受けるかも」


 茶髪の前髪をコンクリートの地面に擦りつけ、お手本のような土下座を披露する。

 そんな自己犠牲的が届いたのか?翼が呆れながら溜息を洩らす。


「ハア、ここで下がらなきゃ、オレが悪者だな」

「ですわね♪ まあ、今回は目を瞑りましょう。彼女の健気な土下座に免じて」


 ルルナはカケルの無礼を水に流し、主人公の井竜翼に敬礼した。


「さあて、と…わたくしは、仕事に戻りますわ。軍が発った後も、地下都市を守らねばなりませんので」


 自らの仕事を語るルルナに、翼が敬礼を返して力強い口調で綴る。


「市民には、希望の女神が必要です。ですから、毒森攻略は我々にお任せください」

「勇敢な戦士に恵まれて、わたくしは幸せ者ですわ。これなら安らぎと共に『留守番』できます。心から祈っていますわ♪あなた方……人類の栄光を」


 七神ルルナはカリスマ力全開で激励してから、この場から優雅な足取りで立ち去ってゆく、その去り際…


「ああ、最後に一つ…」


 思い出したかのように立ち止まり、頬を赤く染めながら、カケルの方へ振りむいた。


「カケルさん。わたくし達は『コインの裏表』みたいですわね♪ 」

貴重な時間を割いて、読んでいただきありがとうございました!


もしも「面白い」「続きが気になる!」と思ったら、下の☆に1~5の評価をよろしくお願いします。

低評価でも、評価を頂けるなら励みになります。

スナック感覚で、気軽に評価ボタンを押しちゃってください。


ブックマークと評価のボタンは下部にあります。お手数ですが、押していただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ