86話「人類の勝利」
「当然、50口径毒弾の破壊力は凄まじい、が……やはり、特出しているのは『毒性』だ。弾丸一発に、猛毒がたんまり仕込まれていてな。流石の奴でも、まともに喰らえば地獄逝きであろう」
「✕△✕ッ、〇✕! 」
荒神業魔は地面へ屈し、大きな口から赤い血を吐き出してしまう。
「毒弾の毒が脇腹から肺に達したか。猛毒に支配されたのなら、強靭無敵のヤツでも『詰み』だな」
「……✕✕✕ッ」
背中から倒れてしまう荒神業魔。その衝撃でドスンッと地面が揺れる。
「まさか、何千年も無敗だった地上最強の生物を『無能な小娘』が打ち破るとは……フン。現実というヤツは、神話よりも歪らしいな」
荒神業魔の沈黙を見定め、雷昂(蛾)が華白の耳元で『勝利宣言』をそっと口にした。
「喜ぶがいい。これで、キサマら人類の勝利だ」
されど、今の華白からしてみれば「荒神業魔を倒した栄光」など、どうでもよかった。
「か、カケル! 」
十弐式毒銃をポイ捨てして、グッタリうなだれるカケルの元へ駆け寄る。
「カケル! 大丈夫! 息してる?! 」
華白はカケルの体を支えて、彼の安否を確認。
そしたら、カケルはガスマスクのレンズ越しに二コリと乾いた笑顔で応えた。
「ハアハア、平気さ。死神の囁き声が聞こえるけど、崖っぷちで生きてるよ」
「そ、そうなんだ~よかったあ、よかったかも」




