85話「負けヒロイン×毒々ハンドキャノン=?」
ここに来て、ようやく辿り着いた真実、ようやく自覚した願望。
華白が『真の願望を自覚』すると同時に……荒神業魔の触手がさらに変形。
大刀形態の触手がキラリと光り、カケルの胸元へ狙いを定めた。
「〇✕〇! 」
カケルの窮地に反応するかの如く、十弐式毒銃の煙が空中分解。
熱い煙が毒霧と混ざり、彼方へ消えてゆく。
「け、煙が……消えた、かも」
「馬の骨! 時が満ちたぞ! 」
華白の体が雷昂(蛾)の合図に反応。
コンマ数秒でL字に折れ曲がっていた銃身をカチャと変形させ、元々の姿『ハンドキャノン形態』にしてみせる。
「…………」
何も考えず直感に身を委ね、左手『だけ』で十弐式毒銃を構える。掌にフィットする鉄のグリップ。そして、華白隣は躊躇なく引き金をひいた。
ーーードオン!ーーー
恐竜のような発砲音が森を揺らし、華白の腕に肩をトラックが追突したかのような衝撃が走る。にも関わらず、毒銃の反動を毒人の体がすべて吸収。
結果、華白自身は微塵の痛みすら感じなかった。
すかさず、50口径の毒弾が荒神業魔へ一直線に突撃。
「当たる……かも」
華白が確信した通り、バカでかい毒弾が荒神業魔の脇腹に『命中』した。
「?! ✕〇✕、○○○○○○○○○○○○○○○○! 」
予期せぬ地名の一撃によって、荒神業魔の様子が一変してしまう。
「? ✕△✕、✕✕✕! 」
地面に崩れ落ち、激しく苦しみはじめる荒神業魔。
予想以上の成果に、雷昂(蛾)はぶっきらぼうに称賛を飛ばした。
「……フン。初見で命中させたか。素人にしては悪くない、星3つ…だな」




