84話「本当に、なりたかったモノ」
だが、それでもカケルは倒れない。
華白は、カケルと荒神業魔の一騎打ちを傍観しつつ、胸の高鳴りを実感した。
「やっぱり、十年経っても……カケルは、カケルかも」
青い瞳をウルウルさせ、不可能と対峙し続けるカケルの背中を見守る。
「チビで無力な……ショタのくせに……」
(絶対に諦めないんだよ、ね)
ドゴォ! ドゴォ! ドゴォ!
腕、手、脚、と……触手のラッシュ攻撃が、カケルの体中を暴行。
それでも尚、愛野カケルは倒れない。運命に抗う幼馴染の姿を見て、華白の目頭が熱くなる。
「ダメ、泣いちゃ……だめ」
(カケルと『泣かない! 』って、契約した、からッ! )
「謹崎さん。まだッ?! まだ、ハンドキャノン撃てないの!」
「我慢しろ。煙が沈黙したら、射撃合図だ」
まだ、灼熱の煙が銃身の末端から湧き出ている。
つまり、次弾を発射するためには、もう少し待機しなければならない。
ガクっと崩れ落ちるカケルの足。
その度に、しぶとく立ち上がり、何度でも荒神業魔に食らいつく。
(ホント、カッコ悪いなあ~まるで、かませ役のモブキャラかも)
華白は十弐式毒銃を構えながら、倒れることのないカケルの背中を見守り続けた。そうしている内に、一つ『とある事実』を自覚してしまった。
「わ、わたしィ……気づいたかも。本当に、なりたかったモノ」
(わたしィは、チート能力者や主人公になりたかったワケじゃない……)
……わたしィは、多分……
「カケルのような…『諦めない人』になりたかったんだ」




