81話「十弐式毒銃」
「流石は鳥頭。『勘違い』をしている自覚がないらしい」
「か、勘違い? 」
「嗚呼、よく聞け。凡人が毒銃を扱えない理由は『体が軟弱』だからだ。裏を返せば『体が頑丈』であれば、如何なる獣であっても毒銃の使用者に成り得る」
……つまり……
「馬の骨。いや、華白隣。今の貴様は、頑丈さだけが十八番の『毒人』なのだから……」
「多分、わたしィなら……毒銃を使える…かも?」
「それのみか、元来……十弐式毒銃は『毒人の神具』として設計されておる」
「ど、毒人間専用のハンドキャノン… 」
毒銃講座をしている間にも、荒神業魔がカケルを蹂躙し続ける。
しかれども、カケルはヨロヨロと立ち上がり、複雑骨折した両腕をぶら下げながら、荒神業魔に真正面から突撃してゆく。
「おおおおおおお! 」
「〇✕〇! 」
……ドゴォッ!
「ぐあッ! 」
荒神業魔の触手カウンターによって、カケルは無情にも打ちのめされてしまう。
彼は一方的に蹂躙されているが、ゾンビのように何度も何度も起き上がってみせた。幼馴染が絶望に立ち向かう展開を目の当たりにして、華白の胸がドクドクドクと鼓動する。
(こんな地獄でも、カケルは言い訳しない。だったら、わたしィも……)
「あと一回、あと一回だけッ。チャンスを! 」
華白は震える『左手』で毒銃を拾い、銃のズッシリとした重量感に息を飲んだ。
「この毒銃で、汚名返上してやるかも! 」




