79話「宝の持ち腐れ」
「泣きベソかくな! 荒神業魔でも、毒の沼地に触れればダメージを負う。故に、流石のヤツでも毒の沼地までは追跡してこない筈! 」
毒の沼地は、毒人の華白にとっては庭のようなモノ。
ただし、コボルトや荒神業魔にとっては避けるべきデンジャーゾーン(危険区域)。
「毒の沼地に入ったら、キサマの安全は確約されるのだ」
そんな美味しい案を提示されても、華白は「イヤ! イヤ! イヤ! 」と駄々をこねる。
「もう、大切な人をッ! 一人ぼっちはイヤなのお! 」
「……〇△〇……」
荒神業魔が我儘を連ねる華白を見下ろし、触手を「大きな剣」に変形させる。雷昂(蛾)は、憎々しい口調で変形した触手にコメントした。
「クソッ。よりにもよって『長刀形態』か」
「ひィ~多分、サイコロステーキにされちゃう、かも」
「嗚呼。頑丈さが取り柄の毒人でも、首を切断されたら一巻の終わりだ! 」
このまま荒神業魔の長刀(触手)が振り下ろされたら、華白は確実に絶命してしまうだろう。
「け、結局、肉壁にすら……なれない、なんて」
「放心している場合か! 目を覚ませ。馬の骨! 」
カケルの役に立ちたい!と、ここまでストーキングしてきた。
けれども、彼の足を引っ張ってばかり、どんなスキルを手に入れたとしても『木偶の棒』という事実は変えられなかった。
「わたしィが、こんな力に選ばれても…アリの一匹も助けられない…」
(自惚れて…調子にのってた…かも。どんなチート能力で着飾っても、中身が腐ってたら……意味ない、のに…)
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