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73話「共喰い」

 

「敵を称賛してるヒマはないよ。リン、巫女さん、君たちは逃げてくれ」


 いつも通り堂々と、カケルが荒神業魔の前に立つ。


「囮になるのは、ボクの仕事だからね」

「ううん。そ、それは違う……かも」


 されど、華白は顔を横に振ってから、逆にカケルの正面へ立ってみせた。


「さ、さっきカッコつけたから、わたしィが無双するって」


「リン! 何をしているんだ? やめてくれ!」

「嗚呼。小僧の忠告どおりだ。その満身創痍の体で、まともに戦える筈がなかろう」


「心配無用かも。今のわたしィには、チート能力があるもん。アイツだって一蹴りで……」


(わたしィはもう! 木偶の棒なんかじゃない。今のわたしィは……)


「多分、世界で一番の! スーパーヴィランなんだから! 」


 以上から、この触手野郎(荒神業魔)だって倒せるはず!

 自らに言い聞かせ、荒神業魔の一挙一動にs集中を注ぐ、が……


「〇△〇……」


 荒神業魔は華白から視線を逸らし、大蛇のような触手を『真紅のコボルト』へのばした。華白は身構えながら、荒神業魔の行動に「?」を浮かべてしまう。


(なんで…『真紅のコボルト』を持ち上げてるの? 何をしでかすつもり? )


 困惑する彼女に構わず、荒神業魔は真紅のコボルトを触手で拘束。

 それから、巨大を口をアングリと開いてから……

 ーーグシャリ!ーー

 ーーグシャ! グシャ! グシャ! ーーー


「なんて事だ。怪物が怪物を捕食するだって?! 」


 目の前に広がった惨劇は、荒神業魔が真紅のコボルトを捕食する狂気だった。

「グシャ!グシャ!グシャ! 」と、肉を貪り喰う音が鳴り、コボルトの臓器が華白の足元へ落ちる。


「い、ひィ~」


 華白の口から小さな悲鳴が洩れ、頭の奥でプツンと理性が切れる音がした。

お忙しいところ、読んでいただきありがとうございます!


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