70話「神具の正体はハンドキャノン?」
すると、二人の間に割って入るように、雷昂(蛾)がカケルの肩に乗った。
「おい、小僧。馬の骨に媚びを売るのは、一段落してから、だ」
「が、蛾に命令された?! 」
「フン。その反応も飽きて来たぞ。それよりも……」
雷昂(蛾)は冷静に、カケルが持っている『奇妙な銃』に疑問を投げた。
「キサマが何故、その『単発拳銃』を所持している? 」
「何でって聞かれても、ケースの中に、この銃が眠ってたんだよ」
彼の話から推測するに、アタッシュケースをピッキングで開錠した後、『この奇妙な銃』が出てきたみたいだ。
華白は、カケルの手にある単発拳銃を目を丸くしながら見つめた。
銃身は16インチ程度。
パーツの殆どが木製で組まれており、長い年月を感じさせるビジュアルをしている。
金属フレームをグリップや銃床に採用している為、拳銃にしてはかなり肉厚だ。銃口も大袈裟なほどに大きく、拳銃よりも『ハンドキャノン』と評した方がしっくりくる。
「魔法の杖とかを期待してたけど、神具の正体って……鉄砲だったんだ」
「結論を急ぐな。コヤツは凡俗の銃器ではない。真名は『十弐式毒銃』。二代目・毒の女神が自作した『神具』の一つだ」
(…に、二代目・毒の女神? なんか、モヤモヤするかも)
華白は『二代目・毒の女神』というキーワードに妙な引っ掛かりを感じ、夢の中で出会った緑髪の少女の顔を連想してしまう。
(考えすぎかな~悪夢で鉢合わせた『自称悪人ちゃん』は関係ないよね? 多分…)




