66話「負けヒロインの技は、回し蹴り?」
「ガァ?! イ! 」
真紅のコボルトは憤怒し、絶叫しながら数メートル上空へ大ジャンプ。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアア! 」
「お次は……空の上から! わたしィの頭を、カチ割ろう!ってワケ? 」
(この攻撃デジャブかも。多分、前に……わたしィをオーバーキルした技の上位互換、かな? )
ーーゆえにーー
「普通の人が食らったら、スライスチーズになるかも」
華白の体内で猛毒とアドレナリンが融合し、莫大な熱量が湧き出て来る。
彼女は左脚へエネルギーを一点集中させ、腰をひねらせてから緑色の瞳にわずかな炎を宿らせた。
「たああああ! 」
スレンダーな体を軸としたまま、左脚を上方75度まで蹴り上げる。
足の甲がコボルトの腹部へ命中。
鋭く、早く、重々しい『上段ハイキック』が、相手(真紅のコボルト)のみぞおちを容赦なく震動させた。
たった一発の少女の蹴りによって「ドオオオオオオン! 」と、核弾頭が炸裂したかのような爆発音が昇り、時空がグニャリとひん曲がる。
「オッ…ガ、ァ! 」
常識離れしたハイキックを味わい、真紅のコボルトは赤い血を吐き、ボールのように地面をバウンド。
それから、硬い地面へ激突し沈黙してしまった。
「ガ……ア、ア……」




