61話「猛毒サポートで知覚覚醒」
「?! 」
猛毒の危険を畏れて、咄嗟に目を閉じ腕で口を覆い隠す。
だが、すでに遅い。華白の体は、つま先から頭の上まで猛毒の汁で濡れてしまっている。
「ほら、わたしィのクレームどおり! 全身、猛毒でベトベトかも! 」
頭から猛毒をかぶり、絶句してしまう華白。それと同時に……
「アッ! ガアアアアアアア! 」
真紅のコボルトの絶叫が、猛毒パラダイス一帯に響き渡ってゆく。
「もッ! 猛毒の果汁が……アイツの甲殻をドロドロに溶かしてる、かも」
華白のコメント通り、果汁が真紅のコボルトの体に付着し、フォートレス甲殻そのものをいとも容易く溶解させていたのである。
「あれ? でも、わたしィの体。いつも通り…ヘッチャラかも」
(猛毒に触ってるのに…痛くも痒くもない。ワケ分かんないよ~)
加えて、華白の青い瞳が「緑色」へチェンジ(変化)。
視界が急激に拡大して、360度すべての景色を精密に認識できるようになった。
(周りの景色が…ぜんぶ『見える』かも。コレって、多分……)
「し、視力が、とんでもなくパワーアップした?のかな?」
華白は『視力が覚醒している事』に動揺し、ひっそりと固唾を飲み込んだ。




