52話「感動?の再会」
彼は平然としたままピッキングを続けている。
この様子からして、華白一人だけが『獣の唸り声』を探知したらしい。
「ありえないかも。カケルは聞こえてないのに、わたしィに『だけ』聞こえるなんて」
認めたくはないが、彼女の耳は『化物の声』を完璧に拾っている。つまり……
(多分、毒人ってヤツになって、聴力が超人クラスになったんだ…)
「カケルはただのショタ男だから…この音に気づけないのも、納得かも……」
華白は己の聴力に若干引きながら、装甲車の後部ドアから外の様子をのぞいた。
「う、唸り声がしたのは外。つまり……」
(多分、間違いない。装甲車の外で、ヤバいのが散歩してるかも)
後部ドアから、外にいる唸り声の正体を認識した直後、華白の顔が蒼白に染まってしまう。ソレは、装甲車からおよそ10メートル離れたところにいた。
「あッ! 赤い! コボルトッ」
唸り声の主は、以前に華白の腹を裂いた張本人そのものだった。
(あのコボルト! わたしィを『初見殺し』したヤツかも)
「ひィ! なんで~こんなジャストタイミングで、アイツが……」
「?一体、どうしたんだい? 」
カケルは、ピッキングを継続させながら華白を気にかける。但し、華白は激しく怯えながらカケルの肩をユサユサと揺さぶった。
「にィ、逃げなきゃ! 一秒でも早くッ」
「落ち着いて、リン。一体、どうしたのさ?! 」
「アイツが、装甲車の前で『出待ち』してるの! このままじゃ、わたしィ達……ランチの総菜にされるかも! 」
「……?。外に、コボルトがいるのかい?」
「呑気すぎるかも! コボルトがチワワに見えるくらい、ヤバい奴が近づいてきてるの! 」
貴重な時間を割いて、読んでいただきありがとうございました!
もしも「面白い」「続きが気になる!」と思ったら、下の☆に1~5の評価をよろしくお願いします。
低評価でも、評価を頂けるなら励みになります。
スナック感覚で、気軽に評価ボタンを押しちゃってください。
ブックマークと評価のボタンは下部にあります。お手数ですが、押していただけると幸いです。




