50話「ショタ男の秘儀は……」
「アタッシュケースの中で、神具が眠ってるんだからね。絶対に開けられないってのも、納得かな」
カケルの言う通り、アタッシュケースは「銀の錠前」で完璧に封印されていた。
「錠前の鍵をもってるのは、翼さん。つまり、僕たちじゃ……このケースを開けることはできない」
「割り切りがエグいかも。命懸けでここまで来たのに、こんなんじゃ…無意味の極みだよぅ」
「ムダかどうかは、捉え方次第さ」
すると、カケルは声を弾ませながら懐を探りはじめた。
「それにしても、完璧な錠前だ。キーホルダーみたいな形してるのに、究極の設計をしている。感動しちゃうな」
「こ、こんな崖っぷちで、呑気なコメントしてる場合じゃないかも」
華白のジト目を気にせず、カケルはポッケから『針金』を取り出し、錠前を興味深々に観察する。
「夜な夜な、企んでたんだ。神さまの錠前を攻略したいって、ね」
……と声を弾ませながら、カケルは針金を女神の錠前の鍵穴へ忍び込ませた。
「神様の鍵をピッキング?! 罰当たり……かも」
「償いはするよ。ちゃちゃっと世界を救った後にね」
カケルは、華白に背中を向けピッキングに集中する。
「コレは、使い捨てのピッキング道具でね。1つしかないから、失敗したら丸ごとオジャン。つまり、ケースをピッキングできるチャンスは1度っきり、だ」




