49話「難攻不落のアタッシュケース」
肝心の神具は確認できず、代わりに一丁のアサルトライフルが出現した。
「多分、アサルトライフルかも。この子も、兵隊さんに置き去りにされたんだ」
(こんな鉄砲。わたしィなんかじゃ、補助輪付きでも扱えないな~)
「いや、それよりも……神具の尻尾すら、掴めないかも。も、ももも、もしかして! 泥棒さんに盗まれたんじゃ~」
頭をよぎる不安を誤魔化すように、華白はアサルトライフルを抱き枕のように抱きしめた。
…それから10分。
車内をどんなに探索しても、一向にターゲット(神具)とは出会えずじまい。
「ああ~。やっぱ、脇役のわたし達が抗っても、ムダかも」
内心、くじけそうになった矢先……
「あった。運命が微笑んでくれたよ。リン! 」
「えっ!? 」
華白は驚きつつ、カケルの方を凝視した。そこには『アタッシュケース』を担ぐ彼の姿があった。
「す、凄いかも。見た目は胡散臭いけど、そのアタッシュケースかも」
「第一関門。突破だね」
「う、うれしい。『初めて』計画通りに、野望を達成できたかも」
「言い方が雑だね。野望じゃなくて、目標って言ってほしいな」
だが、気を抜くのはまだ早い。肝心なのはケース本体ではなく中身なのだから……
「と、とりあえず! ケースの中を『覗き見』しなくちゃ」
「ボクは、変質者じゃないんだけどな。ま、いいよ。まかせてくれ」
カケルは華白の提案に頷き、アタッシュケースの取手をしっかりと握り締め、ケースを開こうと試みる。が、しかし……
「ふんッ! ふん! ふ~ん! 」
彼がどんなに力を加えても、アタッシュケースはビクともしない。その様子を傍観しつつ、華白は一つの不安要素について言及した。
「か、鍵のせいで、アタッシュケースが開けないかも」
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