48話「消えた神具」
こうして二人は、敵の妨害に遭うこともなく横転した装甲車の前に到着。
多目的・装甲車の悲惨な状況に、華白は重々しい溜息をもらした。
「はあ~タイヤもグシャグシャ、窓だってジグソーパズルみたいになってる、かも」
「落ち込んでるヒマはないさ。早速、物資を漁って、翼さんの神具を掘り出そうじゃないか」
カケルは挙動不審な華白を励まし、装甲車にある後部座席のドアを開放させた。
すかさず、二人そろって装甲車の車内を覗いてみる。
車内の天井と床は位置が逆転。非常食や医療品、軍用品などの物資が散乱しており、車内の隅には銃器なども放置されていた。
「あ、あっぱれなゴミ山かも。車の中、どこにも足場がないよ~」
「ここまで荒れてるなんて、逆に感動しちゃうね。おそらく、横転した衝撃で荷物が散らかったんだろうね」
カケルは使い魔の蛾を肩に乗せたまま、乱れた車内へ侵入してゆく。
「さあ、たのしいゴミ漁りの時間だ。神具の入った『アタッシュケース』を救出してあげようじゃないか」
早速、カケルと華白は車内の探索に乗り掛かる、が……
(おかしい、かも。ゴミ山を探りまくってるのに…)
「アタッシュケースの…『ア』の字もない、かも」




