46話「『ふりだし』へ回れ右」
……神社から出発して20~30分後……
華白とカケルは、目的地の『毒森北側』に到着。
茂みの中に身を潜め、毒森北側の状況を葉の隙間から観察。カケルがガスマスクの奥で、おちついた呼吸を刻みながら『とあるモノ』を指差した。
「ほら……リン。アレを覗き見てごらん」
カケルから指示され、彼が指差す方向を見てみる、と……
二人が目標としていた『多目的・装甲車』が数メートル先にあった。
「装甲車かも。でも、ド派手にひっくり返ってるし」
「確かにそうだけど、幸いにも、コボルトは『外出中』みたいだ」
コボルトとの遭遇を覚悟していたが、毒森北側の敵影は0。どうやら、華白の心配は取り越し苦労だったみたいだ。
「これなら、装甲車からアタッシュケースを安心してコソ泥できそうだね」
「気持ち…タルみすぎかも。この『静かさ』がホラー演出にしか思えないよぅ」
一方の華白は、毒森北側の平和っぷりにゾワゾワした不安を抱いていた。
(図書館並に静かなんて、どう考えても怪しい! 危機レーダーがビンビンだよ! )
「罠の香りがする、かも。コボルトの掌で踊らされてるんじゃ……」
(わたしィ達の強さは、ハエにボコされるレベル。もしも、コボルトと感動の再会?でもしちゃったら、みじん切りの刑は免れない、かも)




