44話「気持ち悪さ『だけ』は~」
その次に、カケルは雷昂から目線を外しガスマスクを装着する。
「それじゃあ、出発進行……と、行こうか」
力強い口調で出発宣言をするカケル。使い魔(蛾)を肩に乗せたまま、神社の出口(鳥居)から躊躇なく出発してみせた。
「ちょッ! ちょっと! 少しは怖がってよ」
(この鳥居から出たら、また……地獄を堪能することに、なる)
「あぁ、やっぱり。足が震えて、ただの飾りになってるよ~」
(つぎに、コボルトに会ったら、荒神業魔に会ったら、地獄行き決定かも)
すると雷昂が、戸惑う華白に冷ややかな声で問いただす。
「怖いか? 所詮は馬の骨。やはり、小僧の荷物でしかない様だな」
「足手まといなのは否定しないかも。正直、ずっとこの神社でゴロゴロしてたい……」
胸内の恐怖を受け入れつつ「でもッ! 」と、貧弱なメンタルを奮い立たせた。
(今のわたしに、迷う資格なんかない! )
そもそも、カケルが『戦う』を選択した時点で拒否権はないのだから。
「地獄のマントルまで、カケルをストーキングしてやるんだから! 」
「……気色の悪さ『だけ』は、神の領域だな」
雷昂は華白に呆れつつ、袖から『小瓶』を取り出し、ソレを華白へ投げつけた。
「キサマの『愚かさ』に興味が湧いた。特別に、巫女の加護を貸してやろう」




