43話「使い魔『蛾』は通信機」
そう言う雷昂の肩には『一匹の蛾』がとまっていた。
蛾の大きさは普通の蝶々と同等で、カラフルな虹色の両羽が印象的だった。華白は、小ぶりながらも存在感のある蛾をマジマジと見つめながら不満を口にした。
「えぇ~また『蛾』。どこかの幼女みたく、怪獣に変身しないよね? 多分」
「……馬の骨。頭は回らんが、減らず口は回るみたいだな」
雷昂は華白をギロリと睨み、続けてカケルへ視線を置き換えた。
「小僧、コヤツも『破滅の旅』へ同行させるがよい」
蛾は主(雷昂)の言葉に反応し、宙を舞ってカケルの肩へ移動した。
「メイドさんみたいに、ボクの肩で待機してるけど……この娘(蛾)は一体?」
蛾を右肩に乗せたまま、カケルは雷昂に質問を投げる。
「外見はチビだが、それがしの使い魔でな。そ奴を通せば、この神社からでも、貴様らに助言できるようになるのだ」
「なるほど、蛾の形をした『通信機』ってところかな? 」
「七割方、正解だな」
「傷の手当てをしてくれた上に、使い魔でバックアップしてくれるなんて。手取り足取り、ありがとう……巫女さま」
「フン! 1000年早いわ。小僧」
カケルの真っ直ぐなお礼に、雷昂はプクゥ~と頬を膨らませた。




