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42話「B級映画のヴィラン」
(ああ! 毒バフ人間になったせいで、幼馴染にドン引きされてる~)
「多分……毒に触れても平気な人間とか、寒気する、よね……」
華白が自身を否定しようとした、そのタイミングで……
「ロマンだ! 」
カケルが小学生のように目をピカピカさせ、鼻息を荒げてみせた。
「へぇ? 」
予想もしないカケルの反応に、目を点にさせてしまう華白。
「あらゆる毒を味方にして、風のごとく駆け抜ける極悪の少女! まさに、B級映画のヴィランじゃないかあああ! 」
「わたしィ、映画に出てくる『やられ役』じゃないかも」
呆然とする彼女に構わず、カケルは趣味全開で大歓喜。
「羨ましい! 君が羨ましいよ。リン!」
「もう、カケルのバカあああ! 」
意気揚々とするカケルに、華白は拗ねたように膨らませる。三流漫才みたいな会話のお陰で、雰囲気が少しだけ明るくなった。
そんな二人の間へ……
雷昂のぶっきらぼうなツッコミが炸裂する。
「フン。これから、死地へ向かう空気とは思えんな」




