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41話「出発の前にカミングアウト」

 …それから数分後……

 カケルと華白は出発の準備を済ませ、鳥居(出口)の前に並び立った。


「ところで、リン。ボクが荒神業魔に『KOされた後』の話だけど」

「う、うん」


「ボクが気絶している間、君がずっと介護してくれたのかい?」

「わたしィ、お母さんじゃないかも。ただ、コソコソ逃げ回ってだけ…」

「卑下する事ないさ…リン。逃げるのも、偉大な選択だよ」


 カケルは包帯まみれの手をポケットに押しこみ、その中からガスマスクを引っ張り出した。


「このガスマスクだって君のだろ? 命綱を貸してくれたんだね」

「あ、あの時は…カケルのガスマスク、壊れたから……他に方法がなかったかも」


「すごい話だな。どうやら、今日だけで100年分の恩を借金してしまったみたいだね」


 カケルは「ありがとう…」とニッコリ微笑み、ガスマスクを華白に返そうとする。にも関わらず、華白は首を横に振ってガスマスクを拒んだ。


「そのガスマスク。わたしィからすれば、ただのゴミかも。ソレ、カケルが使って」

「命綱に対して、辛辣な物言いをするんだね……」


 カケルは『ガスマスクは必要ない』と言う華白を前に、シリアスな口調で探った。


「さっきの話。『毒霧を吸ってもヘッチャラ』ってのは、作り話じゃないんだね」

「う、ウソをつけるほど、頭の回転早くないかも」


 深刻な表情でうなづく華白。

 カケルも『毒人』の話が事実であることを察しているみたいだ。


「「………」」


 二人の間に重苦しい沈黙が流れ、華白は心臓が小さくなるのを感じた。

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