39話「じゃない奴らの作戦会議」
「腹をくくったみたいだな。では、最低最悪な作戦会議のはじまりだ」
「始めの台詞、もっと工夫してほしいかも」
続けて、雷昂が「フン」と鼻を鳴らし、作戦会議の本筋へ話を移す。
「小僧。『神具で、荒神業魔を討伐できる』と仮定して、有象無象の貴様に神の奇跡(神具)を使いこなせるのか? 」
「無理だ」
「自信満々に出鼻を挫くな。阿呆が」
カケルの自信満々なお手上げ宣言に、雷昂はポカンと言葉を失ってしまった。すると、華白がカケルの説明を一歩遅れてフォローする。
「えっと~、神具を扱うには『常人を超越した体』が必要らしくて。翼さんが、ルルナさまから加護を授かってるの。それで…」
オドオドした口調で、翼と神具の関係性を述べてゆく。
「翼さんが神具をつかって、荒神業魔をわからせる!って台本だったんだけど…スタート地点で盛大にボコされて、みんな……離れ離れになったかも」
「フン。主人公が迷子…というオチか。寒すぎて、逆に愉快だな」
「ジョークじゃないさ。ぜんぶ、本当の話だよ。それに…翼さんなら大丈夫。きっと合流できるはずさ」
……と、カケルは言うものの、華白の不安は消えなかった。翼の部隊は、毒森の初期地点『毒森北側』でコボルト軍団に襲撃され大打撃を被ってしまった。
(流石の翼さんでも、あんな絶望ラッシュの中じゃ~)
華白は一人俯き、グルグルと不安の波に飲まれてゆくが、そんな彼女に構わずブリーフィングは進行。続けて、雷昂が『神具の情報』について深堀りしてゆく。
「顔すら見たこともない神具が鍵らしい、が……そ奴は一体どこにある? 貴様らが持っている! という退屈な展開でもあるまい」
「あ、アタッシュケース(神具)があるのは装甲車だと、思う。毒森北側で、多分、車の中に放置プレイされてるかも」
「サル共の機動兵器に、そんな趣味があるものか」
『毒森北側』の名を耳にして、雷昂は深いため息をこぼした。
「よりにもよって、其処か。悪い情報だけで一国築けそうだな」
「バッドニュースだけじゃ、王国は栄えないかも」
雷昂の険しい表情を覗いて、華白は恐る恐る質問した。
「ど、毒森北側が毒々天国だから、嫌がってるの? 」
「違う。それがしが危惧しているのは、毒森北側の聖域『毒の沼地』だ」
「「毒の沼地? 」」
カケルと華白は、初めて耳にするフィールド名にひっかかりを感じる。
「情弱どもめ。いや、知らぬのも仕方ない、か。毒の沼地は隠されし聖域だからな」
ボソボソと自己完結しながら、ぶっきらぼうな口調で事情を語ってゆく。
「単刀直入に言うと……毒の沼地は、毒森北側に潜む『秘境』だ」
「す、スタート地点に隠しステージがあったなんて。そんなの…マニュアルには載ってなかったかも」
「教科書など当てにするな。それだから、情弱なのだ」
雷昂は「ヤレヤレ」と呆れつつ、秘境(毒の沼地)について深堀りしてゆく。
「この秘境を熟知しているのは、毒の女神に従える『巫女』のみ。ゆえに、偉大で寛大なそれがしだけが情報を会得しておるのだ」
「巫女さまのくせに、オレ様系すぎるかも」
「無許可で属性をつけ足すな。阿呆が」
幼女巫女は構わず『沼地』の説明を綴る。
「この沼地の毒は『奇跡の産物』でな。例え、耐毒性のある装備を装備していても、ものの数秒で踏み入った愚者を抹殺してしまうのだ」
……さらに……
「沼の泥には『魂縛の術』が符呪されており、超毒で抹殺した獲物の魂を『永遠に呪縛』する……という効果も付属されておる」
「たあ、魂を捕える…毒の沼……」
(装甲車の所に、そんなデンジャラスゾーンが隠れてたなんて~)
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