36話「ショタ系幼馴染が起こしにくる?」
………
「りん……り、ん、りん! 」
暗闇に包まれた意識の中、誰かの声が聞こえてくる。
「う、う~ん」
(……男の人が、わたしを呼んでる? ああ、そっか~悪夢から脱出できたんだ)
その声に導かれるように、華白は重い瞼を朦朧とひらいた。しかれども、開かれた視界の眼前にあったのは、ショタ男の爽やか笑顔だった。
「よかった。リン……」
カケルの面が1ミリ手前まで接近。続けて、彼の吐息が華白の頬を優しくなでる。
「ッ?! 」
(ちッ! 近い! かも……このままじゃ、本能に負けて! カケルに××しちゃうかもおおお)
まるで、恋人同士のような距離間。華白の顔面が真っ赤に沸騰してしまい、自制心のパロメーターが振り切れてしまう。
「ヒィ! いやああああああああ! 」
驚きのあまり黄色い悲鳴をあげ、華白は条件反射的に「突き蹴り」を繰り出す。見事に、彼女の左脚が「ドゴオ!」とカケルのみぞおちへ直撃してしまった。
足で盛大に蹴っ飛ばされ、カケルは頭から畳へ激突。
「オゲエエェ! 」
続いて、畳の上を何度かバウンドした後、ピクピクと痙攣してしまう。
「……り、ん」
華白は、静かになったカケルを見てハッ?! と我に返った。
「あのう~ごめんね。ビックリして、蹴り飛ばしちゃったかも」
「脚癖悪いね、リン。10年一緒にいるけど…はじめて知ったよ」
カケルは腹を庇いつつ立ち上がり、周りの状況について華白へ質問を投げかけた。
「ところで、ここは? 旅館じゃないよね」
「能天気すぎるかも。毒森に宿泊施設なんか、あるわけないよ」
(なるほど~気絶してたから、カケルは何も知らないんだ。なら、この神社のことを適当に教えてあげなくちゃ)
「毒牙神社っていう場所みたい。愛想の悪い幼女巫女さんが助けてくれて……」
ここから、数分……カケルが気絶した後の展開を説明してゆく。
荒神業魔に追い詰められた事。蛾の怪獣に変身する幼女巫女に救われた事。この神社にいる限り安全である……という事。それらの説明が終わった後……
「そっか~。ボクが意識を失ってから、困難の連続だったんだね。情報量が山積みで混乱してるけど、おおよその流れは掴めたよ」
カケルは華白の説明に頷いて、全身包帯姿で普段どおり穏やかに微笑んだ。
「これじゃあ、ミイラ男爵だね」
「ネーミングセンス、-100点かも」
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