25話「変幻自在の凶器」
ギシ、ギシギシギシ!
「止めてえ、離して~」
胴体・腕、そして首を拘束されてしまい、華白は呼吸を詰まらせ足をジタバタさせてしまう。
(首がッ?!! 苦しい、息がッ! できない……かも)
続けて、荒神業魔が見せつけるように大尉の頭に食らいつく。
バリ、バリ、バリ!
華白のすぐ横で、貪り喰われる髭面大尉。
(た! 大尉が、ポップコーンみたいに……ペロっといかれちゃった~)
「ダメだぁ~おしまいだぁ~」
華白のメンタルは清々しいほどに砕け散っている、が…勝者の荒神業魔は、触手で彼女の首を絞めつけながら「?」とクエスチョンマークを浮かべた。
ギ、ギギギ……ギ。
凶悪な触手は、華白の細い首を容赦なくへし折ろうとしている。けれど、どれほど強い力が加わろうとも、華白の首は『一切折れる気配』も無く、彼女の骨格は荒神業魔の拘束を耐えきっていた。つまりソレは「華白の人体が『クリーチャー級に頑丈』である事を証明していた。
「……〇✕?! 」
荒神業魔は獲物(華白)の『異常な耐久力』に動揺しつつ、次なる攻撃手段を試みる。首を失った大尉の遺体をそこら辺に捨ててから、片方の触手を自由にする。フリーになった触手は粘土のように変質し、蛇のような姿から全く異なる存在へシフトした。ソレは、銀の光りを発する一刀の刃……途方もなく精密で鋭利な『太刀形態』だった。
荒神業魔は陰湿な表情を浮かべ、太刀の先端を華白へ合わせた。
「け、剣に変身する触手?! 意味不明だよおおお」
華白の泣き言に構わず、銀色の刃が彼女の右肩へ突き刺さる。
ッ! ドスッ!
「いッ、ひィ! 」
灼熱の激痛が右肩に広がり、華白の意識が飛びそうになる。
ところがどっこい、華白が気絶する前に…
「✕?! ××××××××××××!!! 」
いきなり、荒神業魔の言語化不能な悲鳴が轟いて周辺の毒木を震わせた。
「えッ、何なの?! 」
(なんで……コイツが叫んでんの~絶叫したいのは、わたしィの方! )
荒神業魔の悲鳴が、途切れかけていた華白の意識を引きもどす。
(コイツぅ、勝手に苦しんでる。な、なんで~)
正気を紙一重で保ちつつ、相手(荒神業魔)を苦しめている原因を探ってみる。
よく見てみると、『緑色の血』が荒神業魔の太刀に付着しているのが分かった。緑色の血は「ジュ―」と肉が焼ける音を鳴らし荒神業魔の太刀を侵食してゆく。
「あの血って、認めたくないけどぉ~多分、わたしィの……だよ、ね? 」
(剣でわたしの肩を切った時……わたしィの血が『硫酸の血』が、刃先に付いちゃったんだ)
ジュージューと、緑色の血液に溶かされてゆく刃物(触手)。華白はパニックに陥りながらも「とある答え」に辿り着いた。
「わたしィの、硫酸の血が……アイツの触手をドロドロにして、る」
「〇✕! △✕! ××××××××××××! ××××××××××××! 」
荒神業魔は、たまらず華白を拘束から解放。投げられられた華白は地面へ墜落してしまう。
「あ、うぅ……いたあ~」
(しょ、触手プレイから解放された、けど。ここから、どうしたらいいのぉ)
『緑色の血』で濡れた右肩を左手で庇い、無意味な逃走を試みる、が…
「□✕ッ!……」
荒神業魔はありったけの鬱憤を露わにして、溶解した太刀(触手)を別の形態へ変形させた。
溶かされた触手が容易く復元し、何倍ものスケール感のある巨大な塊と化す。その塊は銅鉄の性質を兼ね備えており、まさに「巨大鉄球」そのものだった。触手が、刃物から「大型・鉄球体」へ変化してゆく過程を見て、華白の心臓がサアーと凍りつく。
(そそそ、そのボーリング玉って?! 装甲車を沈めた……ヤツじゃ)
「おゆるしを~そんなので殴られたら、パンケーキになるかも」
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