237話「頼りない瞳はエメラルドグリーン」
「君!だ、大丈夫?!」
乱入者は、歩むの体をシッカリと掴み、必死に呼びかけてくる。
「つかまえた!かも」
…女の…人の声…
歩は心の中でウットリしながら、その乱入者の腕にしがみつく。
「ゲホゴホッ!だれ?!」
顔中を泥水まみれにしながら、歩は乱入者の顔を咄嗟にみつめる、と…
「緑色の目…」
彼が呆然と呟いたとおり、鼻の先に青い瞳、そして泥まみれの緑髪があった。
そして、見た事もない『白い軍服』を着た女性と視線が交わう。
「見つめ合ってるヒマはない、かも。はやく、岸上に…逃げなくちゃ!」
緑髪の女をまえにして、歩は思った…
…オドオドしてるけど、すっごく綺麗な人だなあ…まるで…
「女神さま…みたい、だ」
心から感じた事を無意識に呟いてしまい、恥ずかしく思ったものの、彼のコメントは緑髪の女には聞こえておらず
「ちょっとだけ、泳ぐかも。わたしィに!しがみついて」
「あぁ、うん」
歩の体を抱いたまま、岸に向かって泳いでゆく緑髪の女。
バシャ!バシャ!バシャ!
泥川の濁流を掻き分けながら、間一髪…岸上まで避難するのに成功する。
「はひィ~ギリギリ間に合ってよかったよ。多分…」
緑髪の女は泥まみれ、白い軍服も泥で濡れてしまっている。
「…あたらしい『耐性毒・軍装』がグショグショだよ。謹崎さんに説教される未来、見えるかも」




