228話「女神のラジコン」
続けて、翼は緑髪少女の『ズタボロ軍服』に釘付けになってしまう。
「軍人なのか? どうして君が、耐毒軍服を……」
「う~ん。とりあえず……わたしィの正体は一ミリも気にしなくていいかも」
……それより……
「翼さんも他の隊員さんも……ルルナさまに『洗脳』されちゃってたの。多分、記憶が空白なのは、そのせいかも」
「……なんだと。俺たちは皆、操られていたのか」
「ガッカリする必要はないかも。ルルナさまは、わたしィが懲らしめたから」
真実を一方的に叩きつけられてしまい。翼は戸惑いを禁じ得ない。
「畜生。オレたちは、最初から最後まで! 希望の女神のラジコンだったのか! 」
怒りに肩を震わせ、ギリっと奥歯を噛みしめる翼。
「自分を責めないで。洗脳も解けてるから、アナタたちはもう自由。それに、毒森だって『わたしのエゴ』に賛成してくれたかも。面倒だけど、引っ越ししてやる……て」
「要するに、毒森が無くなると…言うわけか」
「うん。アナタたち『人間』のハッピーエンドかも」
「俺たちは助かるのか……夢、みたいだ」
翼は口をポカンと開き、ほんの数秒言葉を失ってしまう。
緑髪の少女はそんな彼を見守りつつ、事の本題に移った。
「じ、実はね。翼さんに『無茶振り』するために、ここにテレポートして来たんだ」
「俺に、頼み事があると言うのか?! 」
「多分……この我儘は、翼さんにしか託せないかも」
その内容に、翼は真剣に耳を傾けた。
「その役目を、オレに教えてくれ」
「翼さん。アナタに、これからやって来る『世界』を引っ張ってほしい、かも」
毒森が消えた後の未来を導いてほしい。ソレが、緑髪少女の願いだった。




