227話「目覚める主人公」
……一方、その頃……
「うッ……うぅ、頭が……」
部隊の隊長『井竜翼』が毒牙神社の中庭で目を覚ました。
「ここは、どこだ? 神社だと……オレは今まで、何を? 」
ガスマスクの中で息を荒げながら、神社を見渡す選ばれし者(翼)。
「俺の身に何が、他の隊員たちは……」
痛む頭を抱え、必死に記憶を掘り出そうとする、が……
毒森に到着し、コボルトを仲間と一緒に倒して~それから先の記憶が、スッポリと欠けてしまっている。
「クソ。何も、思い出せない。まるで、狐に化かされたみたいだ」
欠けた記憶に困惑してしまう翼。そんな彼の周りで、更なる異常が発生した。
ーーピカッーー
突然、翼の前に神々しい光が現れたのである。
「なんだ! この光りは?! 」
異変の連鎖に、只々困惑する翼。
……そんな彼の背後から……
オドオドした少女の独り言が聞こえてきた。
「はへ~。毒桜の力があれば『瞬間移動』できちゃうんだ。これなら、いつでも寝坊できるかも」
「後ろから、女の声……だ、誰だ?! 」
翼は咄嗟に振り返り、背後に現れた刺客を睨みつける。
その先には、エメラルドグリーンの瞳をした、緑髪ポニーテイル少女の姿があった。
「つ、翼さん。正気に戻ったんだね。よかったかも」
「なッ……なぜ、オレの事を知っている? その『緑色の髪、緑色の瞳』は? 君は、人間なのか? 」
「わたしィの正体チンプンカンプンな感じ? 仕方ないかも。皮が変わっちゃったから……」




