225話「気安く『さん付け』するな」
雷昂は「…フン」とそっぽを向いてから、変身札を取り出し地面へ放った。
「ならば……ここからは解散、という奴だな」
変身札(お札)から光りが発せられ、雷昂の姿が幼女から怪獣形態(巨大な蛾)に変身。
「それがしは天界牢獄へ飛ぶ。この犯罪者をブタ箱に、ぶち込む為に……な」
雷昂が失神しているルルナを巨大な昆虫脚で拘束してから、今後の方針を淡々と述べた。
「この小娘は、二代目・毒の女神を暗殺し、禁句の神具に手を染めた。その罪は、しっかりと償ってもらう」
「る、ルルナさん。捕まっちゃうの? 可哀想かも」
「自分の首を切り落とした敵に、同情するとは……呆れた奴だ」
蛾の怪獣(雷昂)は悪態をつきながら、気絶したルルナを抱えて上昇してゆく。
「だが、貴様の愚行のおかげで『今回の事件』は真実へたどり着いた。ゆえに……」
雷昂(蛾の怪獣)はバサバサと翼を羽ばたかせ、上から目線で気持ちを伝えた。
「一応、感謝しておいてやる。ありがたく思え」
「うん。こちらこそ」
蛾の怪獣にむかって、二コリと微笑む華白。
「生まれて初めての『友達』が、アナタでよかった……」
華白は自らの胸に手を乗せ、蛾の怪獣(雷昂)へあるがままの本音を届けた。
「ありがとう……謹崎さん」
「……フン! 気安く『さん付け』するな。馬の骨め」
……と、いつものやり取りを交わしてから……
雷昂(蛾の怪獣)はルルナを抱えたまま、空の果てへと飛び去ってゆく。




