224話「多分、昇格?」
「つまり、わたしィが『女神の力』を捨てれば、毒森を転送できるんだね? 」
「嗚呼、毒桜に『女神の魂を捧げれば』貴様は、毒森の支配権を得られる。それから後は、指示を送って毒森を別次元へ大陸移動させればよい」
(女神の力を鍵にして、毒森のハンドルを握る……かぁ~)
「ヘンテコな筋書きかも。車じゃなくて、毒森を運転して、旅に出るなんて……」
「フン。毒桜の下で念じれば、儀式がはじまる。開式後は運命に委ねるがいい」
儀式の説明をザックリ済ませ、雷昂が「ただし…」と警告を付け足す。
「この歴史上において、神の力を『自ら手放す馬鹿』は一人もいなかった。ゆえに、転送儀式が終わった後…どのような未来が待っているのか? 検討がつかん」
「ぜ、前代未聞の愚行で、博打要素たっぷりってワケ?」
……だとしても……
「この『理不尽な世界』を救うには…この方法だけだから…わたしィ、やるかも」
「後悔するぞ? 折角、獲得した『神の力』を、幼稚で愚かな人間の為に捨てるなど…」
その指摘は最も、だ。
「的を得てるかも。せっかく神様になったんだから、一回くらいスポットライト浴びたかったね」
(でも、それは無理な我儘かも。だって……カケルと約束しちゃったから……)
愛野カケルから感染させられてしまった、その契約(約束)は……
「わたしィ、諦めないかも。多分…」
そう告げる華白の瞳を見つめ、雷昂はぶっきらぼうな口調で言葉を連ねた。
「……見直したぞ。ただの馬鹿だと思っていたが、違った。貴様は、大馬鹿だ」
「昇格したみたいだけど、嬉しくないかも」




