223話「逆転の鍵は引っ越し」
華白はグラグラと揺れる地面にしがみつき、雷昂に訴えかけた。
「せ、世界を救う、逆転要素は無いの?! 」
「……1つだけ、ある。正気から逸脱した。狂気の解決法がな」
この欠落した世界を救えるチャンスがある。華白は、その言葉に躊躇せず飛びついた。
「みんなを助けられるなら……悪魔相手にだって、臓器を売れるかも。お、教えて! 謹崎さん」
「フン。後悔しても、苦情は受け付けぬぞ。それでも、やるか? 」
雷昂のズッシリとした返答が、華白に推しかかって来る。
「…………」
(肌感で分かるかも。コレが、『後戻りできない選択』だって。でも、ここで逃げたら……か、カケルに合わせる顔がないから……)
今はもういない幼馴染の事を想い、華白は力強く頷いてみせた。
「……多分、やってみるかも」
「フン。愚か者の鏡だな」
「ダサい称号だけど、有難く受けとっておくかも」
雷昂は華白の燃える瞳を見据え、呆れたようにため息を吐いてから『暴走した毒森を何とかする手段』を説明し始めた。
「解決策は至って単純。この毒森を『別次元へ転送させる』だけでよい」
「こ、この森ごとッ……べつの異世界に『引っ越し』させるってワケ? スケール感が重量オーバーしてるかも」
毒森を、この世界(伊吹町)から遠く離れた異次元へテレポート(転移)させる。
「簡単に言うけど、無茶苦茶かも」
「やる前から、折れるな。不可能な話ではない。女神の力を代償にすれば……転送儀式への扉を開放できるのだ」




