218話「幼女式時間稼ぎ」
華白の挑発を受け流し、ルルナが勇者ノ剣をそっと構える。
「この剣は、80臆もの魔王を成敗してきました。背景も規模も、天ノ無双剣とは段違いですわ」
「カッコイイかも。聞いてるだけで、眠くなるけど」
毒の女神(華白)の態度に、ルルナのこめかみからプチンと音が鳴る。
「もう、茶番はウンザリです。この世界諸共、消毒してやりますわ! 」
ルルナは鬼の形相を顔面に貼り付け、勇者ノ剣を高々と振りかざした。
「さあ♪ 幕を閉じましょう。華白さんッ……いや、毒の女神!! 」
新たな神具を構え、ルルナが必殺の構えに移行。
敵対する華白は一切の迷いなく、次の行動へシフトしてみせた。
「多分、決着をつける……かも! 」
華白が選んだのは「一直線に走るだけ」の戦術性0のアクションだった。
「わたくしの射程範囲に、土足で踏み込んでくるとはッ……愚行の極みですわ! 」
ルルナは頭の血を沸騰させ、勇者ノ剣をめい一杯握りしめ……
「バイバイ菌! ですわあああ! 」
勇者ノ剣を振り下ろそうとする、その刹那……
――バサバサバサ! ーー
突然、『何かの、小さな大群」が、ルルナの視界を妨害してきた。目を凝らして確認してみると、ソレが『蛾の群れ』である事が明らかになった。
「なッ?! 『蛾の大群』ですって?! ま、前が見えませんわ! 」
ルルナの行動を阻止したのは、小さな『蛾の群れ』だったのである。
「汚らわしい、害虫ども。わたくしの……主人公の道を阻まないでください! 」
害虫たちのディフェンスに阻まれ、ルルナの剣がピタリと止まってしまう。
ルルナは白い歯をギリッと噛みしめ、彼ら(蛾の群れ)の主を睨みつけた。
「残念だったな。ソイツ等は、それがしの『召喚獣』だ! 」
「毒の、みこおおおおお! 」




