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214話「毒人リフティング」


「思い上がらないでください。わたくしは、完璧をも超越した存在。ゆえに……」


 ルルナは顔面を真っ青にさせながら、天ノ無双剣を構えて見せる。


「この程度の毒。気合いで、吹き飛ばしてやりますわ! 」


 互いの距離はおよそ10m。近接戦をするには少し遠い距離。

 雷昂は瞬きすることすらも忘れ、二人の決闘を旗から見守っていた。


「馬の骨……。一体、何をしでかすつもりだ? 」


 華白は、緑髪のポニーテイルをサラリとなびかせ、エメラルドグリーンの瞳でルルナの動きを見守っている。


「先行、あげる……かも」


「……ッ! その余裕も、一瞬で恐怖に塗り替えてやりますわ! 」


 ルルナは暴走族のように怒鳴りながら、天ノ無双剣を乱暴に振り下ろす。


「もはや、手加減は不要。悪人は、灰に還りなさい! 」


 聖剣(天ノ無双剣)の刃から黄金のエネルギー波が発生。

 そのエネルギー波が『鎌』のような形状に変化し、一直線に華白へ襲いかかって来る。


 ルルナの必殺技を視認して、雷昂が「斬撃波だと?! 」と目を見開く。


「ヤツの斬撃波は大陸をも両断してしまう! 避けろ! 馬の骨! 」

「今更警告しても、無駄で無意味ですわ! 」


 雷昂の助言に対して、ルルナが勝ち誇ったように反論する。


「わたくしの斬撃波は光を超える。華白さん。アナタが神であっても、躱すことは不可能ですわ! 」


 ……と解説している内に、黄金の斬撃波が華白の鼻先まで急接近。この時点で、斬撃波が華白に命中する事実は確定していた。


「馬の骨ッ?! 」


 ところが、華白は表情一つ変えぬまま、光速で迫りくるエネルギーの斬撃を目視。すかさず、下半身をクイっと捻らせて、左脚を振り上げる。


「よっとぉ! 」


 ――ドガッ!ーー


 華白のつま先が、エネルギー波の横腹に直撃。

蹴られた衝撃に耐えきれず、エネルギー波(斬撃波)が空中でバラバラに砕け散る。


 ギャラリーの雷昂は、まん丸の瞳を点にして口をポカンとさせてしまう。


「ありえん。ヤツの必殺奥義を『蹴り』で粉砕する、だと…」


「大陸をも一刀両断する…わたくしの技が……ただの『蹴り』に……」


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