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202話「神社の幻影」


 切り飛ばされた華白の頭部が宙を舞う。


(あッ、また……死んだ、かも)


 己の死を察すると同時に、奈落の闇に堕ちる華白の意識。

 更に、視界が映画の場面変換のように一転する。


 ――――――


 わずかな沈黙の後、先程までとは異なる『別次元の景色』が華白を迎え入れた。


(このフワフワした……まるで、明晰夢みたいな感覚って)

「ま、また悪夢の世界に来ちゃったの? 今日で3度目。いい加減、ウンザリしてきたかも」


 もはや驚く事もなく、華白は幻想世界を受け入れ、悪夢の世界を淡々と歩く。


(一回目は下水道、二回目は大木、そして……今回は……)


 現在、華白が立っているのは中庭の通路。

 晴天の青空が頭上に広がり、遠くから木が揺れる音が聞こえて来る。


 また、池や通路は隅々まで整備されており、ケチの付けようがない位に美しい、が……この中庭は、華白が知っている『毒牙神社』の環境と瓜二つであった。


 神社の美しい庭を散歩しながら、緩やかな風景を肌で感じてみる。


 華白は辺りをキョロキョロと見渡し、悪夢のシチュエーションを隅々まで観察。


 神社の所々に巫女服姿の少女が見受けられ、少女達はそれぞれの神職に励んでいる模様。

 務める彼女らは皆、神の元で働くのに相応しい絶世の美女ばかりで、ここにはどこにも人肉を喰らう化物コボルトの姿はなかった。


(すご~どこを見ても、美少女巫女さんで一杯だ。いや、そんな事よりも……)

「この庭にも、あの鳥居にも見覚えがある。間違いない。多分、ここって『毒牙神社』だ」


 夢の世界が『毒牙神社』だと察し、さらに推測を深める。


(でも。わたしィの記憶だと、毒牙神社はボロボロのガタガタだし。ここまで綺麗じゃなかったかも……)


「……ああ。そういう事か」


 記憶の中にある毒牙神社と目の前にある毒牙神社を比べ、納得したかのようにポンと手を合わせる。


「この悪夢は『昔の毒牙神社』の姿なんだ」



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